【浦添】2024年度浦添市平和発信事業「平和へぬスクブン」(市国際交流課主催、沖縄ハンズオンNPO共催)が6月23日、浦添市の前田高地とアイム・ユニバースてだこホール市民交流室で開かれた。「スクブン」は、しまくとぅばで使命や役割という意味。午前の部は、沖縄ハンズオンが管理運営する児童センターの利用者をはじめ、市民ら約50人が参加。前田高地で戦没者追悼の思いを込めて、しまくとぅばの「チャンツ(奉納歌)」を歌った。
参加者は日本軍第32連隊第2大隊の兵士の慰霊碑「前田高地平和之碑」前で、世界平和を願うグイス(ヒヌカンへの拝みの言葉)を唱え、日本語としまくとぅばで「月桃」を歌った。前田高地と同じ激戦地となった、宜野湾市の嘉数高台を臨む場所へ移動し、英語としまくとぅばで「アメイジンググレイス」を合唱した。沖縄戦で使われた住民の避難壕・ディーグガマでも、しまくとぅばの曲を歌った。谷口心琉さん(12)=北谷中1年=は「戦争で亡くなった人のことを思い歌った」と話した。
平和発信事業にはコーラス隊「ONE VOICE(ワンボイス)」のメンバーも参加し、美声を響かせた。ワンボイスの宮城恵子さん(76)は「慰霊の日に平和を祈るイベントを開催してくれて感謝している。不戦への思いを新たにした」と話した。仲間頼子さん(73)は「児童センターの子どもたちの生き生きとした姿に、エネルギーをもらえた」と笑顔を見せた。
浦添市に住み、幼い頃から同地を訪れている黒島朱珂(あいか)さん(15)=西原高1年=は「戦争では多くの人々が亡くなり、人種も関係なく殺された。自分たちが平和を築いていくという誓いを改めて抱いた」と語った。
午後は市民交流室で、しまくとぅばを継承する重要性をつづった短編ドキュメンタリー「思事叶果報(うみじとぅかねぇがふう)」が上映された。
(藤村謙吾)