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「味の箱船」県産食材7品目追加 今帰仁でお披露目会 「ツン」や「ウツマミ」


「味の箱船」県産食材7品目追加 今帰仁でお披露目会 「ツン」や「ウツマミ」 「味の箱船」の認定証と認定された食材を手にするスローフード琉球のメンバー=6月17日、今帰仁村天底のアメソコネソコ
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 【今帰仁】食を中心としたさまざまなプロジェクトを展開する国際組織「スローフード」は昨年12月、各地の伝統的かつ固有の食材を守る「味の箱船」に琉球列島で古来より栽培されてきた食材7品目を追加登録した。食材を推薦したスローフード琉球(上野千晶支部長)は6月17日、沖縄の食文化が学べる施設「アメソコネソコ」(今帰仁村天底)でお披露目発表会を開いた。
 今回登録された7品目は「ツン(キビ)」、「ジーメー(陸稲)」、「ウツマミ(下大豆)」、「トーヌチン(モロコシ、タカキビ)」、「ユニ(ウルチアワ)」、「ムチアー(モチアワ)」、「ッフマミ(ササゲ)」。いずれも雑穀類か豆類で、8~15世紀にかけて沖縄に伝わって栽培されるようになり、祭祀(さいし)で供える神酒やおにぎりの材料などにも使われてきた。スローフード琉球によると、現在は生産者の高齢化が進んでいるほか、数世帯の栽培にとどまる食材もある。
 味の箱船は人々の生活との結びつきや消滅の危機など五つの登録基準がある。スローフード琉球は生物の多様性を守る大切さを生産者や消費者、地域の人々に認識してほしいという思いを原動力に、登録へ向けた活動に取り組んでいる。
 県にゆかりのある食材はこれまで8品目が登録されている。追加登録された7品目は2023年の国際雑穀年にちなみ、栽培の維持や農耕祭祀の継承、保全を目指して推薦された。雑穀の研究に取り組むスローフード琉球の玉木陸斗さんは「明かりを消さないのが私たちの使命だ。登録を機に地元で食材の存在を再認識してほしい」と願った。
 上野支部長は登録を喜び「長い年月を生き延びてきた先人から伝わる知恵にこそ、あらゆる事態に対応できるしなやかな力があると信じている」と強調した。 (武井悠)