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平和の花、伊江から磐田に 14校にハイビスカス寄贈


平和の花、伊江から磐田に 14校にハイビスカス寄贈 伊江島で育てられたハイビスカスを前に記念撮影をする6年生と「緑十字機不時着を語り継ぐ会」のメンバーら=6月24日、静岡県磐田市小島の磐田市立長野小学校体育館(提供)
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 【伊江・静岡】伊江島ハイビスカス園(友寄三訓所長)で育てられたハイビスカスがこのほど、静岡県磐田市の小・中学校に寄贈された。同園は今年5月、浜松市で開催された浜名湖花博2024(同20周年記念事業実行委員会主催)の浜名湖ガーデンパーク会場に、ハイビスカスを出展した。伊江村と磐田市の市民団体が平和交流を続けていることから、同実行委員会が磐田市内の希望する小・中学14校に合計120鉢を贈った。6月24日、磐田市立長野小学校(渡邊敬子校長)で贈呈式があった。
 伊江村と磐田市は歴史的な縁で交流を続けている。1945年8月、太平洋戦争の終戦手続きのため、日本の降伏調印使節団を乗せた飛行機「緑十字機」は伊江島まで飛び立ち、別の機体に乗り換えフィリピンに向かった。その帰路、伊江島から飛び立った緑十字機は機体トラブルで静岡県磐田市の鮫島海岸に不時着した。住民が迅速な救援・支援活動を行い、降伏文書を政府に届けた歴史がある。
 その歴史を語り継ぐため磐田市の市民有志が「緑十字機不時着を語り継ぐ会(略称、緑語会)」を結成した。伊江村民有志は2020年に「伊江島緑十字機を語る会」を発足。伊江村と磐田市は「戦後平和の発祥地」として平和交流を続けている。
 長野小での贈呈式には、6年生で緑語会のメンバー、花博実行委員らが出席した。ハイビスカスの鉢を受け取った儀間志旺さん(6年)は父親が伊江村出身で、祖父母に会いに伊江島を数回訪れているという。「ハイビスカスはいい匂いできれい。(不時着当時)磐田の人たちの協力がなかったら今、日本はなかった。おばあたちが生き残ってくれたから僕たちがいる」と語った。
 伊江村の名城政英村長は「ハイビスカスが育ち咲き続けることが平和。磐田市と伊江村の交流の花として大切に育ててほしい」と話した。
 (中川廣江通信員)