有料

宮城さんアジア大会で活躍 ポニーリーグ 久米島出身、福岡に移住 準優勝、打率トップでMVP


宮城さんアジア大会で活躍 ポニーリーグ 久米島出身、福岡に移住 準優勝、打率トップでMVP 「福岡フェニックス」で硬式野球に励む宮城大愛さん(宮城駿友さん提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【久米島】世界約50カ国が加盟する中学生硬式野球リーグ「ポニーリーグ」のU-14ポニーの部日本代表に、久米島町鳥島出身の宮城大愛(だいあ)さん(14)=福岡県=が選ばれ、6月末にフィリピンであった同リーグのアジア太平洋地域選手権大会に出場した。チームは決勝戦で台湾に敗れたが、宮城さんは日本代表の4番として全試合に出場し、12打数9安打1ホームランで大会ナンバーワンの打率を残し、大会のMVPを獲得した。宮城さんは「海外の選手は、球が速いなど元々のポテンシャルが高い人がたくさんいた。高校でもどこかの舞台で、ジャパンを背負って野球をできるよう、一からしっかり練習したい」と話した。
 宮城さんは町立清水小学校2年のときに、学童軟式野球チーム「久米島ヤンキース」に入り、野球の楽しさを知った。当時のポジションは父の駿友(しゅんすけ)さん(34)の影響で、キャッチャー。小学6年で身長160センチを超え、体重も50キロ台後半という体格を生かし、パワーヒッターとしても活躍した。キャンプで島を訪れるプロ野球チームの練習を見たり、中学で硬式野球をする同級生の兄の話を聞いたりして「中学では硬式野球を、より高いレベルでやりたい」との思いを強くした。
 小学6年の5月、宮城さんは、駿友さんに自身の思いを相談した。駿友さんは、せめて沖縄本島ではどうかとも考えたが、「知り合いが少ない環境の方が、本人の成長につながる」と、妻と宮城さんを含む6人の子ども、家族8人で福岡への移住を決断した。
 島を離れることが決まった後、宮城さんにとって最後の学童軟式野球大会で、ヤンキースの仲間は「大愛と沖縄でやる野球は最後だから」と強豪相手に奮起。宮城さんの柵越え1本を含め両チーム合わせ6本のホームランが出る乱打戦を勝利で飾って宮城さんを送り出した。
 福岡県の大原中に進学した宮城さんは現在、同県小郡市の「福岡フェニックス」に所属する。学校が終わると、自転車で30分かけて「福岡フェニックス」の練習に向かい、家に帰るのは午後9時ごろ。そこからまた自主練をするのが日課だ。「島では夜でも外で硬式球も打てたが、ここはそうはいかない」と、夜は筋力トレーニングが主だ。福岡に来た当初は先輩のレベルの高さに驚いたという。それでも「自分が下手なプレーをすると、沖縄の選手はこんなものかと下に見られたり、大したことないねと思われたりしてしまう。そう思われないよう、沖縄、久米島を背負っているという思いで、日々練習や試合に取り組んできた」(大愛)。結果、得意の長打力を磨き、地道な努力を重ねて、日本代表を勝ち取った。
 宮城さんは「代表になるのも、そもそも福岡に来ることも、家族や周りの人のサポートがなければできなかった。支えてくれた人たち、沖縄の人にもいい報告ができるよう、感謝を忘れず、目の前のことを全力でやっていきたい」と力を込めた。 (藤村謙吾)