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難関1級海技士に合格 沖水高・大城海晴さん 国際航路の船長目指す


難関1級海技士に合格 沖水高・大城海晴さん 国際航路の船長目指す 1級海技士筆記試験合格を喜ぶ大城〓晴さん=6日、糸満市の沖縄水産高校
この記事を書いた人 Avatar photo 岩切 美穂

 【糸満】県立沖縄水産高校専攻科漁業科2年の大城海晴さん(19)が、船舶免許で最難関となる1級海技士の筆記試験全4科目に合格した。水産高校からの1級合格は全国でも珍しく、同校では2019年に続いて3人目。海運会社へ来春の就職を目指す大城さんは「国際航路の船長になりたい」と意気込む。

 海技士免許は大型船舶を操縦する際に必要となる。1級を取得すると国際航路の客船や貨物船船長になれる。筆記合格後に一定の乗船履歴を満たし口述試験に合格する必要があり、大城さんも就職後の取得を目指す。

 大城さんは八重瀬町出身で、幼少期から父の影響で帆かけサバニレースに親しんだ。周囲に船乗りが多かった環境から、外国船に憧れ同校の専攻科漁業科に進んだ。同科を卒業すると認定される3級海技士に高校2年で合格し、高校3年で2級も取得した。年間を通じて航海実習がある専攻科1年次は、実習の合間に1級の勉強に励んだ。

 航海、運用、法規、英語の4科目のうち、苦戦したのは航海についての専門用語が多用される英文を日本語訳する英語だった。直訳すると得点につながらないため、意訳する力を付け、過去問題も10年分を暗記した。今年7月、4度目の挑戦で合格し、全科目合格を果たした。

 「周囲で1級を受験したのは自分だけ。教え合う仲間がいないのはつらかったけど、合格した時、クラスメートが自分のことのように喜んでくれたのがうれしかった」と振り返る。

 国際航路も扱う東京の海運会社の面接に向け、担任の大屋泰彦教諭と練習に追われる日々を送る。大屋教諭は快挙を喜ぶとともに「日本の物流の99%以上を担う海上輸送を支えるのが船員。海技士免許を持つ人材は引く手あまただと知ってほしい」と語った。

 (岩切美穂)