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辺戸巡り「案内人」は住民 国頭村観光協会 地域活性化へガイド育成事業


辺戸巡り「案内人」は住民 国頭村観光協会 地域活性化へガイド育成事業 琉球王府の行事で使う水をくんだ川で水をすくう山城岩夫さん(奥)と練習ツアーの参加者ら=8月29日、国頭村辺戸区
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 【国頭村】国頭村観光協会(比嘉明男会長)は、集落の住民を「集落案内人」として育成する取り組みを同村辺戸区で始めている。住民が観光客と集落を巡りながら、琉球神話や歴史、文化を織り交ぜながらガイドする。オーバーツーリズムを避けながら、観光振興と地域経済の活性化を図る。
 辺戸区では、住民でガイドの平良太さんが個人でツアーを提供してきた。区には琉球神話でアマミキヨが降り立ったとされる安須森(アスムイ)や、琉球王府の行事で使う水を採取した大川(ウッカ-)などがある。これらの場所を巡る平良さんのツアーは人気が高く、リピーターも多いという。
 村観光協会は本年度から「辺戸集落案内人育成事業」を始め、区在住でガイド志望者に対して、平良さんが基礎知識やスキルを伝えている。ツアーの内容についてはコンサルティングを手がけるジザイカンパニー(北谷町、鮫島智行社長)も携わっている。
 今回、ガイド志望者として名乗りを上げたのは、平成の首里城復元に関わった山城岩夫さんと、地域おこし協力隊の加藤千加子さんの2人だ。
 8月29日、練習ツアーに取り組んだ山城さんは「重要な部分を伝え忘れるなど反省点もあった。辺戸の存在を多くの人に知ってもらえるよう頑張りたい」と語った。12月まで練習ツアーは継続する。
 村観光協会によると、村の観光は地域の理解を得られていない状況だった。村外の観光業者によるツアーや日帰り観光などで経済的な利益が少なく、自然環境に配慮しない点も問題となっていた。村民から「ちりだけ残して、自然も壊して」と批判の声も上がっていたという。
 村観光協会は、自然を守りながら地域活性化を図る方法として、集落案内人による観光ツアーの創設を目指した。ガイド料金の内から数百円を、協力金として地域に還元する仕組みも取り入れる。
 比嘉会長は、地域を置き去りにしたやり方はしないとした上で「集落の皆さんがやりたいとなれば、観光協会として最大限協力したい」と力を込めた。
 村観光協会は昨年12月に旅行業免許を取得している。来年4月には、集落案内人による観光ツアーの販売を開始する予定だ。 (玉寄光太)