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3王者に無敗若手挑む 第121回秋の全島闘牛大会 10日、うるま石川ドーム


3王者に無敗若手挑む 第121回秋の全島闘牛大会 10日、うるま石川ドーム
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄闘牛における最高峰の舞台である第121回秋の全島闘牛大会(県闘牛組合連合会主催、琉球新報社共催)が10日、午後1時からうるま市の石川多目的ドームで開催される。入場料は男性3千円、女性2千円、中高生千円、小学生以下無料。注目の3大タイトルマッチは、頂点に君臨するチャンピオン牛に下克上を果たすべく無敗の若き猛牛が意気軒高と挑戦する。その他にも、プログラムには県内各地から選抜された精鋭牛が名を連ね実力拮抗(きっこう)、見どころ満載の全10番組が行われる。


重量級優勝旗争奪戦(県知事杯) 新力Baby×荒岩王/攻撃力か、堅い守りか

 新力Babyは、ちょうど1年前の第119回秋の全島闘牛大会で空位となっていた王座を争いバブルと対戦。6分21秒の激闘を制して初の沖縄全島一王座に就いた。5月に開催された第120回春の全島闘牛大会における初防衛戦では、県内最重量1300キロの貴花大獣王(たかはなだいじゅうおう)をわずか17秒で退ける圧巻の強さで会場に衝撃を与えた。重量級とは思えない小柄な体から繰り出す速さや力強さはまさに一級品だ。それに加え、かわいらしい名前とは裏腹に試合を決定付ける豪快な腹取りはたくさんの人を魅了する。対戦成績も12戦全勝と多くの闘牛ファンから絶大な人気を得ている。

 対する荒岩王(あらいわおう)は、昨年3月に徳之島で首領なもん大凛前紋を14分45秒で破りデビュー戦を白星で飾った。続く5月の2戦目では前評判の高かった勝進龍に11分10秒で勝利すると一気に名を揚げた。

 今年4月に沖縄へトレードされ、同月の夏初月闘牛大会で沖縄初戦を強襲荒虎(きょうしゅうあらとら)と戦った。結果は荒技として知られる強襲荒虎の猛攻に耐え17分11秒の長期戦を制して勝利した。腹取りを得意とするようだが、特に巧みな足さばきでリングを広く使った堅い守りに定評がある。

 圧倒的な攻撃力と長期戦を戦える体力も有する王者新力Babyに死角はあるのだろうか。荒岩王は守りを固めながらも唯一の利点である体重差をフルに生かしプレッシャーを与え続けることができれば、勝利への道も開けてくるのかもしれない。


中量級優勝旗争奪戦(うるま市長杯) 心美花形×二代目彪獣王/たたき上げ VS 未知数

 心美花形(ことみはながた)は、8月の第12回夏の全島闘牛大会で圧倒的な強さを誇示していた黒獣王(くろじゅうおう)を破り新王座に就いたシンデレラボーイだ。徳之島で1勝2敗の成績を残し沖縄へ移籍。沖縄初戦を源勝菜(みなもとしょうさい)に勝利し、次の清建設工業黄金(きよけんせつこうぎょうゴールド)との対戦では8分33秒で敗れた。再び牛舎を移籍してむかえた南星朱蘭(なんせいしゅらん)との対戦では格上を圧倒して勝利を収めた。3勝3敗と目立った成績ではなかったが、この勝利が評価され黒獣王への挑戦権を手にすることとなった。

 これまでの敗戦では、攻め疲れによるスタミナ切れが敗因となっていた。しかし、黒獣王戦では、自身の戦術でペースを握り29分もの持久戦の末勝利している。現牛舎の環境が心美花形のポテンシャルを十分に引き出し、今の自信と成長につながっているようだ。

 対する二代目彪獣王(とらじゅうおう)(元・全勝工業黄金龍)は昨年デビューしたばかりの若手だが、すでに不戦勝を含め6勝を挙げている。デビュー前の若牛によるうるま市の闘牛候補審査会では優等牛に選出されるなど若い頃から将来性を高く評価されていた。だが、ひとつ気になるのが格下を相手に白星を積み上げてきていることから、その実力は今のところ全くの未知数だということだ。強豪と渡り合い苦杯を喫しながら苦労してタイトルを奪取した心美花形に、二代目彪獣王はどう挑むのか真価を問われる一戦になるだろう。


軽量級優勝旗争奪戦(琉球新報杯) しんちゃん×馬天オーヤー莉希愛/ベテランと徳之島の星激突

 しんちゃんは、5月に行われた第120回春の全島闘牛大会で友羽総業覇鬼(ゆうはそうぎょうはき)を下して初の王座に輝いた。この試合では友羽総業覇鬼の猛攻をしのぎ、相手の戦線離脱によって辛くも勝ち星を拾うことができた。

 8月の第12回夏の全島闘牛大会では、長堂畜産葵冠(ながどうちくさんあおがん)の挑戦を1分13秒で撃破して初防衛に成功した。この対戦ではベテランならではの巧みな試合運びを見せ、最後はしんちゃんらしい腹取り速攻で勝負を決めその実力を知らしめた。徳之島から再び沖縄へ戻ってきてからの11連勝すべてが短期戦で決着と驚異的な強さで躍進している。また、素早い展開から爆発的な攻撃力で決着をつけるしんちゃんのファイトスタイルに引き寄せられる闘牛ファンも多いのではないだろうか。

 対する馬天オーヤー莉希愛(りきあ)は、2022年3月に徳之島で剛力カキヤー(元・若隆元帥)を7分19秒で破り白星発進。2戦目は23年の8月に闘将摩天楼を2分51秒で下して2連勝した。これを機に将来性を買われ、沖縄へトレードされた。沖縄デビュー戦は4月の夏初月闘牛大会で恵比寿王道との対戦だったが、残念ながら相手に戦意がなく不戦勝で終わった。その実力は徳之島でも高く評価されておりこの試合も非常に多くの注目を集めている。

 ベテランのしんちゃんが若手の馬天オーヤー莉希愛を一蹴し防衛を重ねるのか、馬天オーヤー莉希愛がしんちゃんを撃破して世代交代をやってのけるのか果して軍配はどちらに。


 当日は午前9時から大会終了まで、石川庁舎と会場間でシャトルバスが運行される。ドーム駐車場は関係者や闘牛運搬用のため、県闘牛組合連合会は一般来場者にシャトルバス利用を呼びかけている。利用者を対象にした抽選会も開催される。

(平川智之通信員)