カヌースプリントの日本選手権大会は8日、石川県小松市の木場潟カヌー競技場で行われ、男子カナディアンシングルA決勝で當銘孝仁(沖縄水産高―大正大出、アーネスト)が4分16秒354で頂点に立った。予選と準決勝を順調に勝ち上がり、迎えた決勝では2位の選手と0.241秒差という接戦を制し、優勝をつかんだ。
カヌーの男子カナディアンシングル1000メートル決勝で、序盤からデッドヒートを繰り広げた當銘孝仁(アーネスト)が優勝を果たした。目標タイムより6秒遅く「満足はいっていない」と言うが、世界選手権から帰ってきたばかりで体を慣らすのに苦労した中では結果を残した。
先行して逃げ切るレース展開を考えていたが、隣の選手に「思ったより前に出られてしまった」。すぐさま「まずは離されない」と頭を切り替え、1・5~2艇身ほど後ろから2番手に付けた。
500メートルを超えたあたりで少しずつ相手のペースが落ちてくると、當銘はきつさをこらえながら「最後までいける」と700メートル付近で並んだ。800メートルで追い越し、そのまま1位でゴールした。
東京五輪後、シングル1000メートル以外にもペアなど他の種目も続けた。今年に入り「やっぱり自分に合っている」と感じたシングル1000メートルに特化。今大会でそれが「ようやく実を結んだ」と手応えをつかんでいる。
目下の大きな目標はパリ五輪につながる来年4月のアジア選手権。當銘は「ここで結果を残して五輪への切符をつかむ」と集中力を切らさない。思うような結果が出せなかった東京五輪の借りを返す挑戦は続く。
(砂川博範)