【シーズン総括】沖縄SV、JFL初挑戦の年 入れ替え戦で勝って執念の残留


社会
【シーズン総括】沖縄SV、JFL初挑戦の年 入れ替え戦で勝って執念の残留 沖縄SV―VONDS市原FC 先制ゴールを決めた安在和樹(右)に駆け寄って喜ぶ沖縄SVの選手ら=3日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 三太

 サッカー日本フットボールリーグ(JFL)の沖縄SVはリーグ初挑戦となった今季、通算成績を7勝16敗5分けの勝ち点26で最下位の15位となった。残留か地域リーグ降格が決まる1発勝負の入れ替え戦では、全国地域チャンピオンズリーグ2位のVONDS市原FC(千葉)に勝利。重要局面で踏みとどまり、来季もJFLで戦うことが決まった。

洗礼

 3月に開幕し、11月まで年間28試合をこなす新リーグの日程には不慣れな選手も多く、試合運びや決定力の差を痛感させられる試合が続いた。監督兼選手の髙原直泰は「自信を持って開幕に臨んだが、これぐらいの実力でやれるだろうという甘い考えがあった。選手にボールへの執着心を植え付けることができていなかった。球際の弱さ、最後までボールを負わない姿勢を中断開けの9月まで立て直すことができなかった」と吐露する。

 攻守に最後の詰めの甘さから僅差で敗れる試合も多かった。8月に約1カ月間の中断期間を迎えるが、それまでの成績は17試合で2勝12敗3分けと手痛い洗礼を受けた。一つ順位が上のチームとも勝ち点を離され続けた。髙原は「この時点で入れ替え戦のことを考えていた」と覚悟していた。

後半戦の躍進

 8月のリーグ中断期間がチームが変わるターニングポイントとなった。髙原は技術的な部分ではなく、チームが同じ方向を向くことを求めた。「うまくいっていないチームは選手それぞれの不満が(良くない形で)表に噴出する。チームのために一人一人が何をやれるかを考えてほしい。やれる選手だけがチームに残ってくれ」と監督としての姿勢を伝えた。

 以降は11試合で5勝3敗2分けと上昇気流に乗った。最下位脱出はならなかったが、ほとんどの選手が「まとまりが出てきた」「雰囲気が良くなった」と口をそろえた。幅広い選手器用、記者会見で試合内容を客観的に把握しようと記者と丁寧に向き合うなど、髙原自身の姿勢の変化がチームを変えるきっかけにもつながった。髙原がピッチで示した戦う姿勢を継いで、チームがどう進化していくのか。来季から沖縄SVのJFL第2章が始まる。

(大城三太)