有料

仲里優力、宿敵・鶴田を圧倒 得意のスタンドで攻め続ける レスリング全日本選手権で初優勝


仲里優力、宿敵・鶴田を圧倒 得意のスタンドで攻め続ける レスリング全日本選手権で初優勝 男子グレコローマンスタイル97キロ級決勝で鶴田峻大(右)に勝利し雄たけびを上げる仲里優力=22日、東京都の代々木競技場第2体育館(古川峻撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 古川 峻

 レスリングの天皇杯全日本選手権第2日が22日、東京都の代々木競技場第2体育館であり、男子グレコローマンスタイル97キロ級決勝で仲里優力(北部農林高―日体大出―佐賀県スポーツ協会)が鶴田峻大(沖縄尚学高出―自衛隊体育学校)に2―1でポイント勝ちし、初優勝した。仲里はパリ五輪アジア予選(4月、キルギス)とパリ五輪世界最終予選(5月、トルコ)の出場権を獲得した。アジア予選の上位2位、世界最終予選の上位3位がパリ五輪出場権を獲得する。

 男子グレコローマンスタイル77キロ級は、準決勝で友寄汰志(北部農林高―日本体育大2年)が葛谷拳龍(自体体育学校)に1―1のラストポイントで勝利し、決勝に進んだ。同階級の島袋慶生(浦添工高―日体大出、新潟県レスリング協会)は準決勝で堀北一咲望(日体大)に1―2で敗れた。

 県勢対決を制し、仲里優力(佐賀県スポーツ協会)がほえた。鶴田峻大(自衛隊体育学校)には昨年の世界選手権代表決定プレーオフと一昨年の全日本選手権で敗れていた。仲里も今年のU23世界選手権で3位になるなど得意のスタンドポジションに磨きをかけ自信があった。くしくも戦うスタイルは同じ。「どちらのスタンドが上か、戦うのが楽しみで仕方なかった」

 第1ピリオドから「前に攻めるレスリング」を貫き、鶴田を圧倒した。ほどなくパッシブ(消極的姿勢)で1点を奪うも、苦手とするグラウンドポジションからの得点につなげることはできなかった。

 第2ピリオド残り2分17でパッシブを取られ、1―1に。このままポイントを取らなければ敗れてしまうが、仲里に焦りは全くない。「呼吸で相手がばてているのが分かった」。攻め続けて残り1分17秒で背後に回ると、ここで冷静な判断を見せた。

 「バックを取りにいきたかったけど、ギリギリの位置にいた」と場外に押し出して2点目を奪う。膝をつく鶴田に「かかって来い」といわんばかりに手招きし、最後まで圧を緩めなかった。

 今大会でパリ五輪の出場権を懸けたアジア予選と世界最終予選の出場権を獲得した。「世界で通じる」と自負するスタンドでの戦いを制し、自信をさらに深まった。五輪に向け「まじで切符を取りにいく」と言い切った。

 (古川峻)