重量挙げのナショナルチーム合宿が国頭村のくいなエコ・スポレク公園内施設で15日まで行われている。県勢は、男子73キロ級の宮本昌典(沖縄工高―東京国際大出、同大職)と同109キロ超級の知念光亮(豊見城高―沖縄国際大出、BIG KAMY)が選手として参加し、女子監督にシドニー五輪7位で嘉手納高教諭の平良真理氏が就いている。7月開幕のパリ五輪出場を目指す選手6人が汗を流す。五輪選考に関わる国際大会は残り2大会あり、1カ国男女それぞれ上限3人など条件があり、五輪ランク10位以上の選手が出場権を獲得する。
(古川峻)
「盤石の土台つくる」宮本、淡々と己と向き合う
五輪ランク日本勢最高の3位にいる男子73キロ級の宮本昌典は「盤石の土台をつくりたい」と合宿で体作りに励んでいる。昨年12月半ばから左ももの痛みがあったが、「沖縄は温かくてほとんど回復した。調子はいい」と沖縄の環境が良い影響を与えているようだ。
「ガンガンやっている」と9日の練習は100キロ以上もの重量を反復して持ち上げていた。すぐ隣には、同階級で代表争いをする近内三孝(日大職)が練習していた。ランク10位以内でも、同階級で参加は1カ国1人のみ。宮本は「パリしか見ていない」と近内を横目に淡々と己と向き合っていた。
東京五輪の後、手料理などで宮本を支えてきた母の由美子さんが亡くなった。「今でも一緒に戦っていて、いつでも見守ってくれていると信じてる。パリで自分が成功する姿を見せたい」。晴れ舞台の勇姿を天国にいる母に見せるつもりだ。
知念、宿敵に闘志燃やす
昨年5月のアジア選手権後、左肩を痛めて万全の練習ができなかったという男子109キロ超級の知念光亮。同12月にIWFグランプリ大会に出場したが、現状を確かめる意味合いが強かった。10位という結果に「新しいフォームを試すことができた」と前を向く。
ただ、この大会で同階級の村上英士朗(いちご)が4位となり、世界ランクは14位に、知念は18位と逆転した。ともに合宿練習に臨むライバルであり友人だ。合宿中に時折談笑しつつも知念は「切磋琢磨(せっさたくま)できてモチベーションが上がっている」と闘志を燃やす。
9日の練習は疲労を考慮し軽めのメニューをこなした。昨年はけがで思うような練習ができなかったため、スクワットや筋トレ、補強トレーニングを中心に体作りに励む。2月のアジア選手権で自己ベストを出し、五輪出場圏のランク入りを狙う。「まずは力を戻したい」と準備に励む。
狭き門へ熱い指導 平良監督「選手にメダルを」
平良真理監督は女子から唯一合宿に参加した、五輪ランク6位の鈴木梨羅(ALSOK)を指導している。ロンドンやリオ、東京五輪と比べて選手の出場枠が半減したパリ大会。出場が「狭き門」になっているというが、「必ず出場させたい」と熱をそそぐ。
フォームの細かい違いを見逃さず、タイミングよく助言を与える。「選手の持っている力をいかに気持ちよく乗せるか」。けがをしないようにバランスを取りつつ、選手から力を引き出している。
かつて打診を断ったことがある代表監督だが、パリ五輪に向けて引き受けた。「選手を勝たせ、メダルを取らせたい」。選手へ向けるまなざしは、夏の祭典を見据えている。