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沖縄からサッカードイツ1部リーグへ 夢のW杯へスタートライン、常に前へ 花城琳斗<ブレークスルー>


沖縄からサッカードイツ1部リーグへ 夢のW杯へスタートライン、常に前へ 花城琳斗<ブレークスルー> ドイツでの挑戦を前に「活躍できるかは自分次第」と力を込める花城琳斗=11日、県総合運動公園レクドーム(大城三太撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 三太

 沖縄市出身の花城琳斗(18)=比屋根小―JFAアカデミー福島=がサッカードイツ1部リーグ「ブンデスリーガ」のシュツットガルトに入団し、夢への第一歩を踏み出した。沖縄でボールを追いかけていたサッカー少年は小学校卒業と同時に県外へ飛び出し、U―17、18の日本代表に選ばれるなど着実に力を伸ばしてきた。ステップアップの場を求めて海外へ挑戦し、さらなる飛躍を目指す。

 身長170センチ、体重72キロ。繊細なボールタッチを武器に、状況を打破するパスやドリブルで常に前への推進力を大事にしている。ポジションはMFでボランチをこなす。夢は日本代表としてワールドカップに出場すること。「(アンダーの)代表でもパスの質を上げて、攻撃のアイデアを出せるようになった」と手応えを感じている。

独への切符

 2023年3月、JFA福島の選手として海外遠征に参加し、シュツットガルトの下部チームと対戦。3得点4アシストと活躍して球団の目に止まり、オファーを受けてドイツ行き切符を手にした。U―21(セカンド)チームに加わり、さらなる技術向上を目指す。ドイツサッカーの特長を「攻守の切り替えが速く、ゴールを狙ってどんどん前に出るスタイルが、日本よりも強調されている」と表現する。

 言葉や文化の違う海外でのプレーに不安もあるが、寮生活で食事も提供される。サッカーに集中できる環境は整っており「あとは自分次第」と、強い決意と覚悟で突き進む。

 日本国籍のチェイス・アンリや岡田怜がチームに所属する。岡田とはすでに連絡を取り合い、ライバルながら日本人仲間として支え合い切磋琢磨(せっさたくま)するつもりだ。

早くに土台築く

比屋根FC時代、懸命にプレーする花城琳斗

 比屋根FC時代からボールタッチが柔らかくてドリブルがうまく、得点能力にたけていた。守備の意識も高く、ディフェンスを怠らないことを信条にプレーしてきた。「一番印象に残っている」というのが18年のフジパンカップ・第49回九州ジュニア(U―12)大会。決勝はサガン鳥栖U―12を3―1で破った。主将として出場した花城は2ゴールで優勝へ導いた。

 卒業後は、日本サッカー協会(JFA)が中高一貫で選手を育成するJFAアカデミー福島に入学し、これまで培った技術をさらに飛躍させた。個人技やボールキープ力を土台に、視野の広さやチーム戦術を学び、プレーの幅を広げた。

道を切り開く

 JFA福島での中高生活を振り返り「技術も向上したが、メンタル面の成長が一番だった」と強調する。「人として成長できた。だらしない生活をしていた時期もあったが信頼される人間になったと思う」と規律や自立心をたたきこまれた。「難しい場面に遭っても逃げずに向き合ってきた」と言う。

 4歳からサッカーを始め、父・竜仁さん(47)が代表を務める比屋根FCでボールを追い続けた。竜仁さんは「練習が終わっても居残り練習し、家に帰っても常にボールを触っていた」と努力する姿勢が今につながっていると確信する。「夢のスタートラインに立てた。沖縄の選手も力があると証明してくれたら。努力をやめないでほしい」と願いを込めた。

 花城は沖縄のサッカー少年に向け「個人技は磨いておいた方がいい。技術が伸びない時でもポジティブに考えて下を向かずに歩みを止めないでほしい」とエールを送る。その言葉をかみしめるように、夢の実現に向けて歩み出した。

 (大城三太)