7月開幕のパリ五輪出場を懸け、競泳は17日からパリ五輪代表選考会が東京都で開かれている。2位以上で標準記録を突破すれば五輪代表が決まる選考会で、23日に女子自由形50メートルで平良吏美華(金城中3年)が、22日に五輪派遣種目ではない男子平泳ぎ50メートルで比嘉功太郎(興南高2年)が参加する。
平良はここ1年で、自由形50メートルと100メートルで自らの県記録を次々と塗り替えている。昨年8月に50メートルで全中優勝を達成し、12月に同種目でジャパンオープンに初出場。今年2月のアジアエージグループ選手権は100メートルで優勝し、トップ選手との戦いが経験値になっている。
水をかくパワーは日本トップと遜色ないが、日頃使うプールは飛び込み台の高さや深さがなく、スタート時のドルフィンキックが課題となっている。父の俊晴さんと二人三脚で飛び込みを意識して練習に励む。
アジアエージで初参加した代表合宿では、補強トレーニングなどさまざまな指導を受けた。食事などにも気を遣うようになり、俊晴さんは「日常から競技者のような意識に変わってきた」と成長に目を見張る。憧れの選手は池江璃花子だ。池江は自由形50メートルにも出場し、これまでテレビで仰ぎ見た存在はぐっと近づいた。
県外大会に遠征費が必要になるなど、沖縄は必ずしも恵まれた環境とは言えない。全国の高校から引く手あまたの中、那覇西高に進学する。「今までの生活リズムを変えたくない」と自ら決断した。沖縄から国体に参加したいという気持ちもある。「沖縄から強くなりたい」と郷土を胸に戦う。
女子50メートル自由形の派遣標準記録は24秒55に設定され、越える選手がいるか不透明なほど険しい道だ。「一発勝負で力を出し切りたい」と準決勝進出を目指す。
平泳ぎ50メートルの比嘉も昨年6月の県民体育大会で28秒73の県記録を打ち立てるなど、ここ1年で急速に成長している。180センチの体格に加え、体重も増して「ひとかき、ひと蹴りが伸びるようになった」と実感する。
昨年3月のジュニアオリンピックカップは100メートルで5位。この時の優勝選手の泳法をまねしているほか、2012年に200メートルで世界新記録を樹立した山口観弘の動きを動画や静止画で細かく確認して、より効率的な泳ぎを研究している。
全国トップが集う大会に参加するのは初めてだ。「今頑張っていることが積み重なって将来の実りにつながる。沖縄から代表になりたい」と世界の舞台を見据える。
(古川峻)