世界ボクシング機構(WBO)アジア太平洋女子ライトフライ級王座決定戦(10回戦)が14日、中城村民体育館で行われ、同級1位の池本夢実(琉球ジム)がニラチャポン・タノームサックシー(タイ)に4回1分19秒でTKO勝ちし、新王者となった。戦績は11戦9勝(1KO)2敗となった。
日本ユースバンタム級タイトル前哨戦(8回戦)の具志堅日向(琉豊BS)はポンテープ・ブンチャーリー(タイ)に4回1分34秒でKO勝ちした。4戦4勝(3KO)とした。
インファイトで圧倒 勇退の仲井真会長へたむけ
池本夢実が4回に連打を仕掛けると、相手は前に崩れ落ちた。立ち上がった相手に再び猛ラッシュを放ち、レフェリーが止めに入る。池本は手をたたき両拳を掲げた。セコンドの仲井真重春コーチにマウスピースを外してもらうと、満面の笑みを見せた。
「今回は特別な思いがあった」。いつもと違い、この日で勇退する琉球ジムの仲井真重次会長に両手のバンデージを巻いてもらった。「夢実隊」ののぼりの間からリングに入った時、表情は引き締まっていた。
1回、ゴングが鳴るとすぐに前に出て左右のジャブを放った。「落ち着いてポイントを取れば倒れるだろう」。練習では男子を相手にスパーリングを重ねてきた。その成果もあり、序盤から有効打を与え、手応えがあった。課題の大振りはせず、コンパクトに打撃を与えていった。
2回には「上を相当警戒していた」とボディーやフックなどを打ち分けてダメージを与えた。「この回で行けるならいっていいぞ」とのセコンドの声を受けて3、4回に猛打を連発。重点的に練習した左ボディーが効いていた。
OPBF東洋太平洋フライ級で敗れてからおよそ2年半。その間に階級を下げて大阪で快勝し、力を付けた。母の祐子さんが昨年2月に沖縄に移住し食事などでサポートし、夜勤も割り当てられていた県警の仕事は1カ月半前から日勤のみに変わった。勝者インタビューで感謝を込め「アジアはまだ通過点。引き続き応援よろしくお願いします」と語った。夢の世界王者の実現へ、歩みを進めた。
(古川峻)