短大付―沖縄尚学 1回1死、猛攻の口火となる二塁打を放った沖尚の宮城泰成（右）
名波 一樹 来春の全国高校野球選抜大会出場の参考資料となる秋季九州大会（第155回九州大会）第6日は3日、大分県の別大興産スタジアムで準決勝が行われ、エナジックは柳ケ浦（大分）に4―2で勝利し、沖縄尚学は西日本短大付（福岡）を11―1の六回コールドで下し、4日の決勝は沖縄勢対決となった。2013年の沖縄尚学―美里工以来、11年ぶりの県勢同士の決勝となる。両校の選抜大会出場は確実とみられる。エナジックは二回に1点を先制したが、四回に追い付かれた。それでも着実に加点して逆転は許さなかった。先発の久髙颯は無四球で完投した。沖縄尚学は初回、安谷屋春空の適時打など計8安打で8点を奪取。二回に1点を返されたが、その後もリードを広げて勝ちきった。
エナジックは初の優勝、沖縄尚学は22年秋季大会以来となる4季ぶり6度目の優勝を目指す。
西日本短大付（福岡）
010000 ｜1
801011x ｜11
沖縄尚学
（六回規定によりコールドゲーム）
（西）中野―山下
（沖）末吉―山川
【評】沖縄尚学が13安打11得点で六回コールドゲーム勝ち。一回に5連打など打者13人の猛攻で8点を奪い、その後も加点した。末吉は要所を締め、6回を6安打1失点。西日本短大付は中野が制球難で打ち込まれた。3失策と守備も乱れた。
連打で 初回打者一巡
怒濤（どとう）の連打で襲いかかった。沖縄尚学は初回から次々と快音を響かせ、8安打8得点のビッグイニングをつくって六回コールドで圧勝した。低い弾道の打球で相手守備を打ち崩し、眞喜志拓斗主将は「自分が決めようと思わず、一人一人のつなぐ意識が打者一巡の結果になった」と冷静に語った。
2番・宮城泰成の二塁打で攻撃の口火を切った。「初球からしっかり振れていた」と2球目を左中間へ運んだ。
その後、連続四球で1死満塁となり、5番・安谷屋春空が打席に。三遊間を破る速い打球で2点を奪い、安谷屋から5連続の単打が決まった。「チームとして低い打球を心がけている。練習でやっていることが出せた」と納得の表情だ。
大量得点を奪った後でも、犠打で走者を進めるなど手堅さもみせた。6番・新垣瑞稀は3犠打を成功させ「しっかり集中して決めきれた」と振り返る。
決勝は、県大会決勝で戦ったエナジックとぶつかる。県大会では沖縄尚学に軍配が上がった。両チームは九州の強豪と対戦して経験値を重ねており、今大会の決勝でも好ゲームが期待できる。
比嘉公也監督は「ここまで来たら、なんとか勝ちきってほしい」と選手らを信じた。
（名波一樹）
比嘉、巧打で躍動 3番起用、3安打3打点
沖縄尚学の3番・比嘉大登が打撃をけん引した。巧打を発揮して3安打3打点と躍動した。初戦は7番だったが、上位打線への起用に見事に応えた。
大分入りして比嘉公也監督に打撃指導を受けた。「開かず逆方向に強く打つよう指導された。それを意識し続けている」とフォーム修正の成果を実感している。今大会を通して打率8割超え、計5打点の活躍に「当たってるな」と手応えを感じている。
「目標の優勝をつかみとるため、勝ててよかった」と白い歯をみせた。
（名波一樹）
＜決勝見どころ＞投手戦、1点を争う戦いか
秋季九州大会の決勝は、県大会優勝の沖縄尚学に準優勝のエナジックが挑む。打撃戦となった県大会決勝は、沖縄尚学が8―5でエナジックを下した。
沖縄尚学のエースは最速150キロの1年生末吉良丞。エナジックのエースは緩急が持ち味の久髙颯。両者ともに左腕だが、タイプが異なる。攻撃では沖縄尚学は犠打を絡めて着実に1点を奪取する。エナジックは1番のイーマン琉海を筆頭に、機動力も生かして流れをつかむ。
両チームとも今大会を通しチームの完成度が高くなり、決勝では投手戦も予想される。一つのミスが大きく影響し、1点を争う戦いとなりそうだ。
（名波一樹）
