オフシーズンに県内の球場で開催されている野球のリーグ戦「ジャパンウインターリーグ(JWL)」。プロ志望の学生やステージアップを狙う選手らにスカウトが注目するトライアウトの場として11月23日からは3回目が開催される。昨年の延べ観客数は2千人に上り、経済効果も注目されている。運営するジャパンリーグ(那覇市)の鷲崎一誠社長に展望を聞いた。
―沖縄で開催しようと思ったきっかけは。
「私自身も野球を経験していて、アメリカのウインターリーグに参加したことをきっかけに、『不運なけがやタイミングのずれで活躍する機会を逃した選手へプレーする場所を提供したい』という思いを抱き、構想を始めた。沖縄を選んだ理由は三つある。温暖な気候から冬でも半袖でプレーできること、オフには選手らが観光を楽しめるリゾート地であること、プロ野球の春季キャンプなど、沖縄全体で野球への熱や理解があることだ。地元の方々に理解してもらうために何度も足を運び、立ち上げまでには約1年半を要した」
―今年で3年連続3回目。参加球団や選手が増えている。
「コーチや監督も力のあるスタッフで構成しており、信頼と実績がつくれたことが規模の拡大につながっていると考える。今年は初めてプロ野球選手の参加も予定されており、全試合が映像配信サービスDAZN(ダゾーン)で無料配信されるなど、注目度も高まっている」
「昨年も世界各地の約40球団のスカウトマンが訪れた。5年以内に日本のプロ野球かメジャーリーグに行く選手が出てくると予想している。ただ、必ずしもプロ野球選手になってほしいわけではない。野球の技術を獲得して次のステップに進むなど、自己成長の場として捉えてもらえるとうれしい」
―ビジネスとしてどう収益を上げていくか。
「今の収益構造は選手の参加費とスポンサー料だが、今後はこれに加えてチケットやグッズ販売などを伸ばしたい。参加選手が毎回異なり、プロ野球のように選手にファンをつけるのは難しい。毎年一回きりの勝負でもある甲子園に熱い視線を送るファンを獲得するのと同じ要領になるだろう」
―他の展開は。
「全国の高校3年生を対象にサマーリーグを構想している。有望な選手でもチームが負けてしまうと甲子園には出られない。悔しい思いをしている選手に光を当てたい。来夏にトライアルを実施し、再来年の夏の本格始動を目指す」
「メジャーリーグとマイナーの運営関係者らが一堂に会するウインターミーティングの日本版をJWLと並行して開催することを考えている。選手以外にもコーチやインターンなど野球界で働きたい人の就職フェア、スポーツ商材を扱う商談会など、多くのイベントが期待できる。JWLの球場はコザなので、沖縄アリーナや沖縄コンベンションセンターを活用して展示会や講演会、会議を開くなど、MICEともひもづけることができるだろう」
(聞き手・與那覇智早)