岸田文雄首相は内閣改造で防衛相に初入閣の木原稔氏を起用。自民党側で国家安全保障戦略の策定に関わった政策通として、防衛力強化の実行役を期待する。党内では台湾との関係を重視する保守派の代表格として知られ、中国に対する発言も関心を集めそうだ。
木原氏は17日のNHK番組で「戦後最も厳しく複雑化した安全保障環境に直面する中、防衛力を抜本的に強化する方向性を維持したい」と表明。中国に関しては「力による現状変更の試みや急速な軍事力の増強、東・南シナ海での活動の活発化を非常に懸念している」との認識を示した。
第2次安倍政権で防衛政務官や国家安全保障担当の首相補佐官を歴任。岸田政権では党安保調査会幹部として昨年12月の安保戦略など3文書策定に携わった。最近は防衛装備品輸出ルール見直しを巡る与党実務者協議のメンバーを務めた。
故安倍晋三元首相にも期待された党内保守派の中核的存在で、台湾との友好を推進する超党派議員連盟「日華議員懇談会」の事務局長を入閣前まで担当。昨年8月には議連で台湾を訪れ蔡英文総統と面会し、有事の邦人保護について意見を交わした。17日の番組では中国との対話について「主張すべきことは主張し、対話を積み重ねていく必要がある」と述べた。
過去には不用意な発言で物議を醸した。2015年の沖縄全戦没者追悼式の際、安倍氏にやじを飛ばした参列者について「明らかに動員されていた」と言及。今月13日の就任記者会見で「当時の印象を述べた。動員されているかどうかを確認したわけではない」と釈明した。
在任中は「防衛相としての立場で発言したい」と強調するが、野党から過去の言動が取り上げられる場面もありそうだ。
(共同通信)
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木原防衛相の対中発言に関心 過去に沖縄巡る不用意発言も 台湾関係重視、保守派の代表格
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琉球新報朝刊