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スイス・NGOイベント 基地負担減へ日米で対話 人権への尊厳、多国間で共有を <玉城デニー知事質疑応答要旨>


スイス・NGOイベント 基地負担減へ日米で対話 人権への尊厳、多国間で共有を <玉城デニー知事質疑応答要旨> 国連人権理事会のサイドイベントで講演し、沖縄の歴史や米軍基地の集中による人権侵害の状況について発信する玉城デニー知事=19日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 玉城デニー知事は19日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた、NGO市民外交センター主催のサイドイベントで、沖縄の地理や歴史、米軍による事件事故、基地から派生する環境問題、日米地位協定の問題点、名護市辺野古の新基地建設の大浦湾などへの影響について説明した。イベントの冒頭などで知事の国連人権理事会出席の意義などについて説明した島袋純琉球大教授と、登壇した国際平和ビューローのショーン・コナー事務局長の発言要旨、会場からの質問と玉城知事のやりとりについて紹介する。

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<知事 質疑応答要旨>

基地負担減へ対話 ■ 人権尊重、多国間で共有を

 サイドイベントでの会場からの質問と玉城デニー知事の応答の要旨は以下の通り。

 ―実際のところ、中国の拡張主義がある。なぜこの点について討議していないのか。

 「中国の拡張主義について、われわれは、外交は国と国、政府と政府の間で建設的、信頼的な対話による信頼関係構築を求め続けている。これは一自治体が決定、実行できるものではない。政府に対して常に対話による課題の解決を求めて、民主主義社会に対してその姿勢をしっかり示すべきだと求めてきた」

 ―新しい基地と言うが、昔からある基地を移設することで、普天間飛行場の危険を排除することになるのではないか。

 「普天間飛行場の一日も早い危険性の除去はわれわれも政府も同じ考え。しかし、1997年に、5~7年以内に普天間を返還すると約束してから何年たっているのか。しかも今造っている基地は、当初の計画とは全く違い、船をつける係船機能や弾薬搭載エリア、2本の滑走路など従来の普天間飛行場にはない機能が付け加えられている。さらなる基地負担の増強にしかならない。県民は基地負担の軽減を求めていて、基地を強化することは望んでいない。辺野古新基地建設に頼ることなく日米両政府が話し合うことで、世界一危険と言われる普天間の危険性除去を最優先に考えて手段を講じることを、県民は誰もが望んでいる」

 ―国連のアジェンダフォーピースは、沖縄がメッセージを発する上でどう助けになるか。

 「UNアジェンダフォーピースの、戦略的な国家主義ではなく多国間による平和協力主義を築くべきという方向は沖縄県も歓迎する。戦争が終わって78年、日本に施政権が移って51年が経過した。この間常に望んでいるのは、国家間による協力の体制を維持すること、平和的な対話による協力関係を維持すること、そのためには人権に対する尊厳を多国間で共有することだ。平和主義、人権尊重主義について、沖縄は長い米軍基地との関わりで求め続けてきた。それはこれからも変わることのない大きな期待だ」

 ―国連の人権理事会は何をしてほしいか。

 「人権を尊重することが普遍的な価値観を持っていること、一人の人間が生まれながらに持っている権利であり決して侵すべきではないということが共通認識としてある。世界にある軍事基地も管理されているのかを人権思想の観点からしっかり捉えていくことを求めたい」