辺野古新基地建設に関して、軟弱地盤の改良工事に伴う沖縄防衛局の設計変更申請を承認するか否か、玉城デニー知事は3日夜まで両副知事と協議したが「結論はまだ出ていない。明日(4日)調整する」(池田竹州副知事)と、結論は指示期限の最終日に持ち越しとなった。玉城知事が判断についてぎりぎりまで検討する背景には、県庁内や知事を支える与党内で意見の相違があり、行政の長としての立場と民意を受けた政治家の立場との狭間で苦悩している。
関係者によると、県庁職員の中には「最高裁判決という司法判断に、行政としては従う必要がある」という意見は根強い。法律にのっとった行政という原則論を崩す形になれば、県庁の担う幅広い業務全体に悪影響が生じるのではという懸念もある。
ある県幹部は、与党との協議の場で、承認しないことで国から損害賠償を請求され「数百億円に上る可能性がある」とリスクを指摘したという。ただ、金額や危険性について「根拠は明確にされていない」(与党県議)という指摘もある。
与党県議は、2日に知事に対して全24人連名で、指示に対して「承認しないこと」を求める要請書を手渡した。最高裁判決に反する形で不承認と明言することについて疑問視する議員も一部にいるが、期限内に回答しないことも含めて承認をしないよう求める形で、最大公約数的に全員一致の形をとった。
与党県議の一人は「行政は公益に資することを目的として判断するべきだ。公益に資するのは、承認して埋め立て工事をさせることか、それともやめさせることか。県職員もそれを考えてほしい」と話した。
(沖田有吾、佐野真慈)