<金口木舌>静かな泡盛ブームに期待


社会
<金口木舌>静かな泡盛ブームに期待
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 1980年5月7日付の本紙に気になる記事を見つけた。名護中学校の「泡盛産業調査グループ」が泡盛業界を調査し、学習発表会で発表したという

▼北部地域で、安くて手軽に飲め、特有のにおいがひと頃より少なくなった、と報告書に記す。「ヤング層の間で洋酒をしのぐ勢い」で愛飲され、記事は“静かな泡盛ブーム”到来とまとめた
▼沖縄戦で多くの酒造所が破壊され、戦後は洋酒の台頭で押された。ようやく泡盛文化復活の芽吹きが始まった頃だったのだろう。79年には「やんばる在住者」限定の「名護泡盛同好会」が発足した
▼現在は「やんばる泡盛同好会」と名を変え、「地元酒を育てよう」と集いを開く。コロナ禍の中断を経て16日は42回目の「泡盛同好の集い」が開かれた。北部12酒造所の自慢の泡盛がそろい、つい痛飲してしまった
▼2022年の出荷量は前年を上回ったが、まだコロナ禍前の8割の水準。来年は泡盛を含む日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産登録に向け審査される。静かな泡盛ブームの再来に期待したい。