琉球新報社
沖縄の新聞記者として、何のために、誰のために取材し、記事を書くのか。これまで何度も聞かれた。「沖縄のため」。迷うことなく、そう言い続けた
▼辺野古新基地の設計変更申請の承認を巡る代執行訴訟の第１回口頭弁論。代執行の要件の一つ「公益」で、国と県の主張は真っ向から対立していた
▼国側は、県が承認しないことは法令違反で「公益が侵害されることは明らかだ」と抗弁した。安全保障の視点を前面に打ち出し、過重な基地負担による弊害や基地建設によって高まる攻撃のリスクは覆い隠して
▼「県民が示す明確な民意こそが公益とされなければならない」。一方の玉城デニー知事は新基地建設に反対する民意の正当性を主張した。沖縄県知事として、県民の側に立つという意思を改めて示した格好だ
▼「公益」という言葉は、解釈や立場によって意味が変わる。県知事であれば地方自治を実現するために公益を考えることは至極当然のことだ。判決期日はこれから指定される。裁判所がどんな立場を示すか。判決内容は一言も聞き漏らすまい。
