5日に開催された辺野古新基地建設問題を巡る県民集会は、主催者発表で1800人が参加した。目標の3千人規模には届かなかったものの、辺野古を巡る県民集会ではコロナ禍を経て3年ぶりの大規集会となった。国による代執行訴訟に対し民意を背景に応訴した玉城デニー知事を後押しし、改めて辺野古新基地建設を黙認せず、反対する意志を示した。
大規模な県民大会、集会は、基地問題という不条理に対する県民の思いを、米軍や日本政府に対して視覚化して示してきた。抗議の意を共有することで、市民運動の活発化の契機ともなる。
プライス勧告反対と四原則貫徹を掲げて15万人が参加した1956年の県民大会や、米軍人による少女乱暴事件に抗議する県民総決起大会(95年)、教科書検定意見撤回を求める県民大会(2007年)、オスプレイ配備反対の県民大会(12年)など、沖縄が米軍基地と対峙する中で、多くの人が繰り返し県民大会や集会に参加してきた。
しかし、20年以降は新型コロナ禍で大規模な集会が制限される一方、辺野古を巡る訴訟では県の敗訴が続いた。9月の最高裁判決で県の敗訴が確定した後「再び島ぐるみの大きなうねりを巻き起こしたい」(与党県議)と、意志を明確に表す場の必要性がクローズアップされた。
23日には、那覇市の奥武山公園でさらに大規模な県民大会の開催も予定されている。玉城知事は「われわれは決して黙認しないという思いを、少しの時間、行動で表してほしい」と呼び掛けた。代執行訴訟は県側にとって厳しい判決となる可能性も指摘される中、県民の意志を内外に示すためには一層の広がりが求められる。
(沖田有吾)