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ガザ 1日4時間戦闘休止 イスラエル 「人道回廊」設置へ


ガザ 1日4時間戦闘休止 イスラエル 「人道回廊」設置へ ガザ地区を巡る状況、イスラエル軍の進軍エリア、住民避難のための「人道回廊」
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9日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファで食料を求める子どもら(ゲッティ=共同)
 【ワシントン、エルサレム共同】米政府は9日、イスラエル軍が地上侵攻を強めるパレスチナ自治区ガザ北部で民間人避難のため1日4時間の戦闘休止時間を設け、北部から南部に避難するための「人道回廊」を2カ所に設置すると表明した。人道危機が深刻化するガザへの支援物資搬入を増加させ、イスラム組織ハマスが拘束する人質の解放を促す狙いもある。 (10面に関連)
 イスラエル軍は北部住民に前日までと同様、10日午前から午後にかけての6時間に回廊の幹線道路を通じ南部に避難するよう求めた。「4時間の戦闘休止」との関係は不明。軍は、戦闘休止は「戦術的、局所的」として、方針転換を否定した。ガザを実効支配するハマスも戦闘休止の合意はないと表明。ガザ北部では軍の市街地侵攻と昼夜を問わない空爆により民間人被害が拡大している。
 軍報道官は10日も大勢の人が南に向かったとする映像を公表し「避難の時間は少ない」とした。イスラエル首相府は9日、米側の表明を受け、ハマスが人質を解放しなければ「停戦はない」と改めて強調した。
 国連のドゥジャリク事務総長報道官は9日の定例記者会見で「人道支援を目的とするのなら、休止のタイミングと場所に関し国連との調整が必要だ」と強調。ハマスの対応も重要だと指摘した。
 オンラインで記者会見した米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、戦闘休止3時間前に住民に通告すると説明した上で「最初の重要なステップだ」と強調し、連日の戦闘休止を必要な期間継続することが望ましいと語った。同氏によると、バイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が6日の電話会談などで戦闘休止を話し合った。人道回廊の1カ所は数日前から1日4~5時間の通行が可能になった。もう1カ所は海岸沿いの道路。
 イスラエル軍は4日から連日、ガザ北部住民に南部への移動を通告。国連は9日だけで推定5万人以上が南部に避難し、北部になお数十万人が残っていると表明した。
 イスラエルのガラント国防相は9日、軍がガザ市にある地区最大級の医療機関、シファ病院の周辺に迫っていると明言。軍はハマスが病院地下に司令室を設けていると主張。軍報道官はガザ市中心部での戦闘が拡大し続けていると語った。