有料

太陽光発電、売却急増 1~6月 前年同期比2倍超 出力制御への不安影響か


太陽光発電、売却急増 1~6月 前年同期比2倍超 出力制御への不安影響か 太陽光発電売却依頼の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 太陽光発電施設の投資物件売買サイトへの売却依頼が急増し、今年1~6月は前年同期比約2・3倍となったことが11日、分かった。サイトを運営する「グッドフェローズ」(東京都)によると、一部は買い手が見つかりにくい。大手電力が、再生可能エネルギーの発電事業者に一時的な発電停止を求める出力制御が今年過去最大となり、事業継続の不安が高まったとみられる。
 太陽光発電は、発電した電力を決まった価格で大手電力に買い取ってもらう権利とともに売買される。買い取り価格が高い物件は人気だが、想定外の出力制御が続き発電停止を迫られると収入が落ち込む。出力制御は今後も増える見通しだ。
 グッドフェローズは、太陽光発電を販売したい企業と、投資したい法人や個人をつなげるサイト「タイナビ発電所」を運営。同社の集計によると、全国で約16万の事業者が発電事業計画の認定を受け、その2割弱がサイトに登録している。
 2019年の売却依頼件数は54件だったが、20年は240件、昨年は686件。今年は6月までで659件(昨年同期は290件)とほぼ前年に並び、年間では1200件程度になる見通しだ。1~6月は都道府県別で鹿児島が最多の64件、千葉47件、宮崎41件と続いた。エリア別では九州が最も多く、昨年の4倍に急増した。
 出力制御は電力安定供給のために実施する。気象条件がよく太陽光の発電量が増え、需要が少ない時期に発動されやすい。電気料金高騰に伴う節電による需要減も影響する。原発は出力制御が難しく、再稼働が進み、日照時間が長い九州では太陽光事業者が発電停止を求められることが多い。
 経済産業省によると太陽光と風力の出力制御は18年度に九州で初めて実施され、22年度は東北など6地域に拡大。23年度は、需要が大きい首都圏を抱える東京電力を除く大手9電力が実施し、制御した発電量は18年度の約17倍に増える見込み。
 環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「諸外国と比べて再生エネの比率が低いのに(出力の)抑制率が高い。今後の普及に対する最大のブレーキだ」と話した。
 出力制御 電気は需給バランスが崩れると周波数が乱れて大規模停電を招く恐れがある。このため晴天が続き太陽光の発電量が増えて需要を上回る場合などに、送配電事業者の大手電力が指示し、発電事業者が発電量を抑制する。火力発電の稼働を一定程度に抑制したり、他地域へ送電したりしても余剰電力を解消できない場合に再生可能エネルギーの太陽光、風力の出力を制御する。気象条件が良く、太陽光の導入が進んだ九州で2018年に初めて実施された。出力調整が難しい原発や水力、地熱は抑制の順番が最後になる。