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辺野古問題で国が使い続けてきた「裁定的関与」今後は? 鈴木総務相「慎重に検討」


辺野古問題で国が使い続けてきた「裁定的関与」今後は? 鈴木総務相「慎重に検討」 沖縄県名護市辺野古の沿岸部(共同通信)
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 【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で政府が県の決定を覆す際に使ってきた「裁定的関与」の制度を巡り、鈴木淳司総務相は13日の参院行政監視委員会で、制度の見直しが求められている点を問われ「裁定的関与のあり方について慎重に検討していきたい」と述べた。伊波洋一氏(沖縄の風)への答弁。

 裁定的関与は、国などが審査請求などの手続きを通じて地方公共団体が判断した処分に関与する制度。国が自治体の判断を直接否定できる点で地方自治の観点から問題が指摘され、全国知事会も見直しを求めている。

 辺野古新基地建設問題では、2015年に翁長雄志前知事が仲井真弘多元知事による辺野古埋め立て承認を取り消したのに対し、国は行政不服審査制度を利用して県の取り消し決定を無効化し、工事を再開した。18年に県が埋め立て承認を撤回した際も、21年に沖縄防衛局の設計変更を県が不承認とした際も、同様の手法が使われた。県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして県が国を相手に起こした裁判において最高裁は22年の判決で、埋め立て承認は法定受託事務で都道府県が抗告訴訟で裁決の違法性を争うことは認めていないと判断した。 

(明真南斗)