有料

「子の睡眠の改善を」 学会訴え 脳・体・心の発育に必要


「子の睡眠の改善を」 学会訴え 脳・体・心の発育に必要 子どもの睡眠カ条
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 世界でも睡眠時間が短いとされる日本では、寝足りていない子どもも多いという。日本睡眠学会理事長を務める久留米大の内村直尚学長は「適切な睡眠が子どもの未来を開く」と改善を訴える。
 米国立睡眠財団が推奨する睡眠時間の目安は小学生で9~11時間、中高生で8~10時間。これに対し、10道県の小中学生約8万7千人に行った調査では、10歳までの平均睡眠時間は推奨内に収まったが、それ以降は足りていなかった。
 「睡眠は脳と体と心の発育に必要で、子どもは深く長く寝る必要がある」と内村さん。記憶に関わる脳の「海馬」は長く寝る人ほど大きく、記憶の定着には睡眠が不可欠になる。体の成長に重要な成長ホルモンは深い眠りの際に分泌される。
 一方、睡眠が不足すると脳の前頭前野の働きが落ち、記憶力や集中力、やる気が低下、感情の制御も難しくなる。
 甘みに鈍感になり、肥満につながる危険もある。
 10代までは体内時計が敏感で、就寝や起床が1時間以上遅れると生活リズムはすぐ狂うという。スマホなどが放つブルーライトの影響も若いほど受けやすく、眠気が遠のいてしまう。やはり規則正しい生活が重要だ。
 睡眠が乱れると「ゲームのしすぎ」「夜更かしのせい」などと断じがちだが、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーなどの睡眠障害を伴う病気が隠れていることもある。
 内村さんは「親と教師が昼夜の子どもの状況を共有し、昼間の強い眠気が続くようなら医師に相談を」と話している。