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米中、軍同士の対話再開へ きょう首脳会談 緊張緩和の機運


米中、軍同士の対話再開へ きょう首脳会談 緊張緩和の機運 バイデン米大統領(右)と並ぶ中国の習近平国家主席=2022年11月、インドネシア・バリ島(AP)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【サンフランシスコ共同=清水敬善、武井徹】バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が15日の首脳会談で、両国の軍同士の対話再開で合意する見通しであることが、13日分かった。人工知能(AI)の軍事利用に関する制限や、気候変動対策での協力を示すための首脳間合意も目指している。米中関係筋が明らかにした。
 バイデン氏は実務者レベルを含めた軍同士の意思疎通の再開を求め、習氏は応じる構え。偶発的衝突の回避を目指す思惑で一致しており、歩み寄りで緊張緩和につなげたい考えだ。
 ブルームバーグ通信は、米国で乱用が社会問題となっている医療用麻薬フェンタニルの対策として、中国が製造と輸出の取り締まりに乗り出すことで両首脳が合意すると報じた。代わりに米国は人権侵害を理由に中国の警察機関に科していた制裁を解除するという。
 サリバン米大統領補佐官は13日、記者団に「実りある会談を期待している」と語った。
 今回の会談はサンフランシスコでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて開く。人間の判断を介在させない形でのAIの軍事利用に制限をかける方向でも合意する可能性がある。AIが独自に敵対的な行動を取り、自動的に衝突に至る恐れが懸念されている。
 昨年8月、ペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問に反発した中国は、軍同士の対話を中断した。今年2月に中国の偵察気球が米本土上空を飛行し、米軍が撃墜。その後、台湾海峡や南シナ海で中国軍艦が米軍艦に異常接近するなどの事例が相次いだ。
 気候変動を巡っては首脳会談に先立ち、両国の担当特使が会談。今月末からの国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)を前に温室効果ガスの2大排出国が協力を模索してきた。
 APEC首脳会議は15~17日に開かれる。