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教団財産処分に通知義務 旧統一教会 自公、財産保全法見送り


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民、公明両党は14日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済策に関する実務者協議を開き、提言をまとめた。解散命令請求を受けた宗教法人を対象とし、財産を処分する場合に国への通知義務を課す宗教法人法改正を柱とした。被害者支援拡充に向けた総合法律支援法改正も明記。臨時国会に提出し、成立を目指す。解散命令が出る前に教団の財産を一律に保全する新規立法は、憲法に抵触する恐れがあるとして見送った。
 被害者救済策を巡っては立憲民主党と日本維新の会がそれぞれ、一律に財産保全を可能とする独自案を臨時国会に提出している。自公案とは隔たりがあり、与野党協議は曲折が予想される。
 立民、維新の新規立法は、悪質企業の財産保全手続きを定めた会社法を準用している。自公提言は「解散命令が確定する前の段階であり、宗教的行為を幅広く制約しかねない」と懸念を指摘。憲法との整合性を損なわないよう、宗教活動や信仰の自由に十分配慮する必要があるとした。
 自公実務者は、教団に対する損害賠償請求訴訟や財産保全手続きに至った事例が極めて少ない点を重視した。被害者への法律相談体制が十分でないことや、訴訟費用の重い負担を要因に挙げ、救済策の柱に位置付けた。
 提言した宗教法人法改正は、財産移転を国が把握できるようにするのが狙い。被害者が多数見込まれる宗教法人には、不動産の処分前に国への通知を義務付ける。財産リストの提出回数を増やす措置も取れるよう変更する。
 海外流出を防ぐため、外為法の規制強化の検討も明記した。
 被害者支援の拡充では、日本司法支援センター(法テラス)の設置を定める総合法律支援法の改正を挙げた。被害者の資金力にかかわらず、財産保全の司法手続きを援助できるようにする。立て替えた弁護士費用の返済猶予・免除の要件緩和も掲げた。

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<用語>旧統一教会の財産保全

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求に対する司法判断が出るまでの財産保全措置。教団が別の団体や海外に資金流出させる懸念があるとして、与野党が対策を検討している。立憲民主党と日本維新の会は、解散命令請求された宗教法人を対象に、文化庁や利害関係者らの申し立てにより裁判所が財産保全を命じることができる内容の独自案を別々に策定。立民は2年に限った特別措置法制定、維新は恒久的な宗教法人法改正を目指している。
(共同通信)