有料

長持ちのこつ「中火以下」 スポンジで丸洗いを


長持ちのこつ「中火以下」 スポンジで丸洗いを ライオン・リビングケアマイスターの杉本美穂さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日頃の調理に欠かせないフライパン。表面にフッ素樹脂加工が施された製品が主流だが、扱い方によっては加工が短期間で劣化することもある。長持ちさせる使い方や洗い方のこつを探った。

フッ素樹脂フライパン
 今年5月、味の素冷凍食品の冷凍ギョーザの消費者が「皮がフライパンに張り付いてしまう」と交流サイト(SNS)に投稿。同社は「フライパンの状態を確認して研究・開発に活用したい」と応じ、使い込んだフライパンの提供を広く求める展開に。ユニークな対応が話題になった。
 受け付けは6月に終了、全国から3千個以上が届いたという。味の素冷凍食品戦略コミュニケーション部の勝村敬太さんは「予想以上の反響に驚きました。大半はフッ素樹脂加工で、中には10年以上使用されたものも。多くは使い込まれて加工がはがれていました」。現在フライパンの使用状況やギョーザの焦げ付き具合などを調査中という。
 調理器具に詳しいライオン・リビングケアマイスターの杉本美穂さんは、「フッ素樹脂加工と鉄製のフライパンでは扱い方が大きく異なります」と強調する。
 フッ素樹脂は高温や急激な温度変化に弱く、空だきで加熱すると樹脂がはがれやすくなる。「調理直後に熱いまま水で冷やすと劣化しやすくなるので、しばらく置いて洗ってください」と杉本さん。
 「特に火加減には注意してほしい」という。フッ素樹脂加工のものは中火以下での調理が基本。中火とは、ガスこんろなら火の先がフライパンの底に当たる程度だ。
 調理時も気を付けたい。金属製のへらを使うと表面が傷つくので、木べらや樹脂製のフライ返しを使うと表面の損傷を減らせる。また、料理を入れたまま長時間放置すると、微細な穴から汚れが入り込み、樹脂がはがれやすくなるという。
 汚れを落とす際は「金だわしや研磨剤が練り込まれたスポンジ、クレンザーを使うと樹脂まで落ちてしまいます」。取っ手や裏面の汚れも放置すると劣化が進むので、柔らかいスポンジに中性洗剤を付けて丸洗いするとよい。ただしフッ素樹脂加工の寿命は通常1~2年。焦げ付く頻度が増えたら買い替えも検討してほしいという。
 一方で、鉄製のフライパンは油を引き、強火で熱してから調理する方が焦げ付きにくい。「洗う際は洗剤をあまり使わず、汚れを落として水気を飛ばし、油をなじませて保管するとさびが防げて長持ちしますよ」