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GDP年率2.1%減 7~9月 物価高、個人消費不振


GDP年率2.1%減 7~9月 物価高、個人消費不振 実質GDP成長率の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 内閣府が15日発表した2023年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は物価変動を除く実質で前期比0・5%減、年率換算は2・1%減だった。22年10~12月期以来、3四半期(9カ月)ぶりのマイナス。物価高に伴う家計の節約志向が響き、GDPの5割超を占める個人消費が振るわなかった。企業の設備投資も落ち込んだ。新型コロナウイルス禍からの景気回復に急ブレーキがかかった。 (4面に関連)
 年率換算の下落幅は、コロナ禍が重荷になって2・6%減に沈んだ22年1~3月期以来、6四半期(1年半)ぶりの大きさとなった。22年10~12月期はこれまでの0・2%増から0・2%減に改定されたが、23年1~3月期と4~6月期はそれぞれ3・7%増、4・5%増と高成長が続いていただけに、景気の急変ぶりが際立っている。物価変動を含み、景気実感に近いとされる名目のGDPは4四半期(1年)ぶりにマイナスとなり、前期比0・04%減、年率換算は0・2%減だった。
 7~9月期の実質GDPを項目別に見ると、個人消費は自動車や食料品が落ち込み前期比0・04%減、設備投資は半導体製造装置に対する投資の減少が響き0・6%減だった。住宅投資と公共投資もマイナスだった。
 輸出は自動車が増えた一方、輸出に区分されるインバウンド(訪日客)消費が振るわず、0・5%増にとどまった。輸入は著作権使用料の増加などで1・0%増えた。
 GDP全体への影響度合いを示す寄与度は、個人消費や設備投資などの「内需」がマイナス0・4ポイント、輸出から輸入を差し引いた「外需」はマイナス0・1ポイント。内需のマイナスは自動車輸出の増加に伴うとみられる民間在庫の減少が大半を占めた。