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首相、解決へ展望開けず 横田めぐみさん拉致46年


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けた展望が開けないままだ。1977年に当時13歳だった横田めぐみさんが新潟市で拉致されてから15日で46年。岸田文雄首相は拉致問題を「政権の最重要課題」と位置付け、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談を模索するが、北朝鮮側に応じる気配はない。
 首相は15日「多くの拉致被害者が北朝鮮に取り残されているのは痛恨の極みで、大変申し訳なく思う」と官邸で記者団に述べた。
 10月23日の臨時国会の所信表明演説で、首相は「首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を進める。日朝間の実りある関係を築くため、大局観に基づき判断する」と強調した。
 「直轄」と「大局観」の表現は、5月の拉致被害者の帰国を求める集会でも使った。真意について政府から踏み込んだ説明はないが、北朝鮮側に政治決断をにおわせたメッセージを送ったものとみられる。
 日本政府関係者と北朝鮮側が今春、水面下で接触していたことも9月末に判明した。
 首相は15日「北朝鮮との交渉については事柄の性格上、具体的に申し上げるのは控える」と言及を避けた。
 日朝対話の実現は難しさを増しているとの見方は強い。
 北朝鮮は夏以降、東京電力福島第1原発の処理水問題や軍事分野で中国、ロシアと距離を縮めている。日本との協議には、独自制裁緩和など「日本の譲歩が先」との立場も変わっていないとされる。
 日本は北朝鮮の核・ミサイルへの対処のため米国、韓国との安全保障協力を強めており、溝は深まっている。