流会派の垣根を越えた8人の実演家による琉球古典音楽「歌鎖」の第6回公演が10月9日、浦添市の国立劇場おきなわであった。コロナ禍や台風での延期を経て、今回の公演は4年ぶりとなった。実演家として脂が乗った8人が紡ぎ出す“8色の音”を、独唱や斉唱でたっぷりと聞かせた。
湛水親方(本名・幸地賢忠)の生誕400年にちなんで、湛水流の「早作田節(はいつぃくてんぶし)(下出(さぎんじゃし))」と「揚作田節(あぎつぃくてんぶし)(揚出(あぎんじゃし))」の斉唱で幕開け。続く第1部は8人がそれぞれ独唱を奏でた。
新垣俊道による「赤田風節」は安定感のある低音を印象的に響かせた。平良大の「百名節(ひゃくなぶし)」は、高音の伸びが華やか。
玉城和樹の「二揚(にあぎ)東江節(あがりいぶし)」は、一音ごとの変化や強弱のコントラストが繊細で、切ない歌を表現した。仲村逸夫の「二揚仲風節(にあぎなかふうぶし)」はハリのある声質と声量で圧倒された。
仲尾勝成の「本花風節(もとはなふうぶし)」は穏やかな低音に凜(りん)とした美しさを感じた。和田信一の「本調子仲風節」は奥行きのある歌声を響かせた。
大城貴幸は「二揚仲風節」を、技巧的な三線とみずみずしい高音で聞かせた。喜納吏一の「二揚述懐節(しゅっくぇーぶし)」は、伸びやかな高音が別れの切なさを感じさせた。
第2部では、安冨祖流の4人が「十七八節(じゅうしちはちぶし)」、野村流の4人が「昔蝶節(んかしはべらぶし)」を披露。最後は全員で「かぎやで風節」を披露して歌い締めた。 (田吹遥子)
「かぎやで風節」を歌う(前段左から)大城貴幸、和田信一、新垣俊道、仲尾勝成、(後段左から)平良大、玉城和樹、仲村逸夫、喜納吏一=10月9日、浦添市の国立劇場おきなわ
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“8色の音”たっぷり 古典音楽「歌鎖」4年ぶり
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琉球新報朝刊
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