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ピアノの詩人 音色柔らか シュガーホール キルシュネライト×琉球フィル


ピアノの詩人 音色柔らか シュガーホール キルシュネライト×琉球フィル 金井俊文の指揮で、琉球フィルハーモニックオーケストラとハイドンの「ピアノ協奏曲第11番」などを演奏するピアニストのマティアス・キルシュネライト(手前中央)=12日、南城市文化センターシュガーホール
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 プレミアムクラシックコンサートVol.4「琉球フィル×マティアス・キルシュネライト」が12日、南城市文化センターシュガーホールであった。ドイツを代表するピアニストのマティアス・キルシュネライトをソリストに迎え、琉球フィルハーモニックオーケストラと共演した。オケの優美な音色に乗せて、キルシュネライトは慈愛深く柔らかな音色を響かせた。
 指揮は金井俊文、コンサートマスターは高橋和貴が務めた。主催は琉球フィルハーモニック、共催は琉球新報社。
 キルシュネライトは“ピアノの詩人”と称賛されドイツを代表するピアニストの1人。来日は20回を超え、沖縄県内でのコンサート出演も重ねている。今回、沖縄でオーケストラとの共演は初。
 1曲目にハイドン「ピアノ協奏曲第11番ニ長調」を披露。第1楽章、第2楽章は軽やかに上品な音色を響かせ、一転第3楽章ではハンガリー風ロンドとして、飛び跳ねるようなリズムと独特な響きが印象に残った。
 続いて、モーツァルトの「ピアノ協奏曲第21番」を披露した。明るく快活な曲想で、透明な響きの中から各楽器が共鳴し合うように美しく展開し、魅了した。
 演奏の前には、曲目の聞きどころ、作品が生まれた時代や背景も紹介した。キルシュネライトはモーツァルトの「ピアノ協奏曲第21番」から一部を実演も交え解説し観客を楽しませた。第1部の最後にアンコールに応え、ドビュッシーの映像第1集より「運動」、ブラームスの「16のワルツOp.39より第15番変イ長調」をピアノソロで聴かせた。
 最後は、モーツァルトの代表傑作で最後の交響曲である交響曲第41番「ジュピター」で締めた。生き生きと表情に富んだ洗練された響きが会場を包み、観客から大拍手が送られた。アンコールは、金井編曲によるモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」で終演した。
 次回のプレミアムクラシックコンサートは来年5月26日午後2時、「生演奏で聴きたいストリングスの名曲」と題して、うるま市民芸術劇場響ホールで予定している。 (田中芳)
金井俊文の指揮で、琉球フィルハーモニックオーケストラとハイドンの「ピアノ協奏曲第11番」などを演奏するピアニストのマティアス・キルシュネライト(手前中央)=12日、南城市文化センターシュガーホール