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米中緩和、その場しのぎ 首脳会談 確執の構図変わらず


米中緩和、その場しのぎ 首脳会談 確執の構図変わらず 米中首脳会談のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 バイデン米大統領が16日に中国の習近平国家主席との首脳会談で一致した緊張緩和策は、米中確執の根本には踏み込まない「その場しのぎ」の性格が強い。急速に台頭した中国との間には、安全保障をはじめ多くの分野で埋めがたい立場の差がある。軍同士の対話再開など危機回避の仕組みづくりを図ったのは、対立の長期化が避けられないとみていることの証左だ。 (1面に関連)
 1991年のソ連崩壊後、米国が唯一の超大国として君臨してきた世界の構図は変わりつつある。発展途上国だった中国は軍事・経済両面で驚異的な成長を遂げた。バイデン政権は昨年10月に公表した国家安保戦略で「国際秩序を変える意思と能力を兼ね備えた唯一の競争相手」と危機感をあらわにしている。
 台湾や南シナ海などを巡る米中対立は深く、予期せぬ衝突を危ぶむ声は強まる。軍同士の対話再開や首脳間の意思疎通にこぎ着けたのは、日本を含めた国際社会には好材料となる。ただ両首脳は1年前の会談でも意思疎通強化の方針を確認している。中国の偵察気球飛来問題で関係が一気に冷却化した経緯を振り返れば、今後も新たな難題が浮上すれば、そのたびに対話再開からやり直さなければならない事態も予想される。(サンフランシスコ共同=新冨哲男)