2024年度の公的年金の受給水準が物価や賃金の上昇分に追い付かず、目減りする見通しであることが16日、ニッセイ基礎研究所の試算で分かった。賃金が3・0%上昇するのに対し、年金額は2・6%の増加にとどまる。少子高齢化に応じて賃金などの上昇幅よりも年金額を抑える仕組みが働いて0・4%分が引き下げられるため。目減りは2年連続。
同研究所の中嶋邦夫上席研究員が試算した。目減りは、年金額を抑制する「マクロ経済スライド」という仕組みが適用されるためで、将来の年金水準を維持する効果がある。物価高騰に苦しむ家計には打撃となる。
公的年金は自営業者らが入る国民年金と、会社員ら向けの厚生年金があり、年金額は物価や賃金の増減に連動して毎年度改定される。試算によると、23年の物価は3・1%、過去3年分で計算した賃金は3・0%それぞれ伸びる。年金額の改定ルールでは、今回は伸び幅の小さい3・0%を基準とし、マクロ経済スライドによって0・4%分を引き下げるため、年金額は2・6%増となる。
今後の物価の変動幅によっては結果が変わる可能性もある。23年度の67歳以下の年金額(月額)は、国民年金が6万6250円、夫が会社員で妻が専業主婦のモデル世帯の厚生年金が22万4482円。試算を単純に当てはめると24年度の国民年金は月1700円程度、厚生年金は月5800円程度増えそうだ。
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年金、2年連続目減りへ 来年度、0.4%分引き下げ
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琉球新報朝刊
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