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嘉陽田朝裕5年ぶり 劇団月城 旗揚げ公演


嘉陽田朝裕5年ぶり 劇団月城 旗揚げ公演 カーテンコールをする嘉陽田朝裕(前列左から3人目)、嘉陽田早苗(同4人目)ら
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 沖縄芝居の劇団月城(嘉陽田早苗団長)の旗揚げ公演が10月21日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるであった。早苗の息子で副団長の嘉陽田朝裕も時代明朗歌劇「貞女小」に出演し、2019年1月に過労などによる病で倒れて以来、約5年ぶりの舞台となった。朝裕は里之子(糸数きよし)のお供をする三良をコミカルに演じ、観客の笑いを誘った。
 朝裕は沖縄芝居の若手として活躍していたが、体調を崩した後は子どもらの指導を中心に活動していた。今回は旗揚げ公演のため「団員に背中を見せたい」と出演を決意したという。早苗は「貞女小」で里之子の母を演じ、親子共演となった。
 後半の名作歌劇「中城情話」(親泊興照作)は朝裕が演出を担った。通常は大人が村の美童たちを演じるが、嘉陽田琉舞道場の子どもたちが元気よく演じた。大人の団員たちも芝居の経験は少ないが、悲恋物語の中心的な役を担い、健闘していた。カーテンコールでは早苗が目を潤ませながら観客の拍手に応えた。
 上演後、朝裕は「出るのは怖かった。体力がないので『また倒れて迷惑をかけないか』と葛藤があった」と明かし「でも舞台に出るとやっぱり楽しくて、団員や共演者が不安をかき消してくれた」と感謝した。「今後は子どもたちの育成を中心にしながら、できる範囲で舞台に立っていきたい」と話した。 (伊佐尚記)