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アレルギーっ子と「お祭り」 沖縄アレルギーゆいまーるの会 田村磨理<心の扉を開いたら 患者会・福祉団体便り>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 秋と言えば、県内はもちろん県外でもさまざまなお祭り、フェスが開催されています。10月に全国で初めて岡山県で開催された、食物アレルギーを引き起こしやすい特定原材料8品目を材料に使用しないフェス、通称「アレ!!ふぇす」について発信します。

 食物アレルギーがあると、一番行ってみたいけどリスクが高いのが「お祭り」です。アレルギーのない方は何でも飲食したり触ったり楽しむことができますが、わが子に食物アレルギーのあった時期はお祭りに行くと食べられるものは、かき氷のみ。おいしそうなものや楽しそうなものを目の前に何も経験させてあげることができず、自然と足が遠のいてしまいます。

 その願いをかなえてくれたのが「アレ!!ふぇす」ではないかと思います。開催のきっかけは、主催者が下校途中の小学生と交わした「食物アレルギーがあるからお祭り行ったことない」との、一言だったそうです。

 自分の子どもでもなく、親戚の子どもでもなく、たまたま話した小学生の言葉に情熱を持って実現する力は本当に尊敬しかありません。

 実は当会でもずっと「アレルギーっ子夏祭り」をしたいと思っていました。ただ、この「アレ!!ふぇす」のテレビ報道を見て感じたのは、来てほしい対象の人たちという軸は変えず、誰にでも楽しんでもらえばいいんじゃないか、ということでした。

 もちろんメインターゲットは食物アレルギーのある人です。除去する特定原材料の品目数、仕込みをする台所状況、原材料の表示など、利用者が判断できる情報の提供を含めた出店者への周知徹底が必要ですが、利用客は楽しい時間を過ごし、出店者は今までと違う反応が見られるならウィンウィンな化学反応が起きるのでは、と妄想を膨らませています。

 こうしたイベントを実現するには、たくさんの方の力が必要になってくると思います。ただ、こうした行動の原動力がアレルギーのある子どもや家族にとって前向きな生活につながり、地域での理解も深まっていくのではないでしょうか。今後、当会より協力のお願いをさせていただく際には快諾していただけますと幸いです。