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「県民の思い」知事強調 軍転協要請、閣僚対応なし


「県民の思い」知事強調 軍転協要請、閣僚対応なし 三宅伸吾防衛政務官(左から2人目)に軍転協の要請書を手渡す玉城デニー知事(同3人目)、古堅守読谷村副村長(右端)、比嘉孝史嘉手納町副町長=17日午後5時20分ごろ、防衛省
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県と27市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協、会長・玉城デニー知事)が敵基地攻撃能力(反撃能力)を有する装備を県内に配備しないよう初めて政府に要請した。県は6月に単独で反対の意向を伝えていたが、市町村と足並みをそろえての要請となり、玉城知事は「県民の思いをぜひしっかりと受け止めてもらいたい」と強調した。(1面に関連)
 軍転協が要請に踏み切った背景には、敵基地攻撃能力のある長射程ミサイルなどが配備されることで「沖縄が攻撃目標となることは決してあってはならない」との危機感がある。米軍基地の集中に加えて、自衛隊の増強が急激に進んでいることが「かえって地域の緊張を高め、不測の事態が生ずる」(軍転協の要請書)という懸念も根強い。
 県幹部は、自衛隊について首長間のスタンスの違いがある中で「自治体がまとまって反撃能力配備反対を要請できた意義は大きい」と今回の取り組みの成果を語った。政府関係者は「住民が不安を感じるのは理解できる」とし「安全保障上、どうしても言えないこともあり、要望とのミスマッチが生じているのでは。可能な範囲で必要性を説明する」と話した。
 言葉と裏腹に、内閣府、外務、防衛両省、官邸での要請で閣僚対応はゼロ。米軍基地関係の対応や自衛隊を所管する木原稔防衛相は9月の就任以来、玉城知事と一度も顔を合わせていない。
 一方で軍転協の約1時間半前に来省した糸数健一与那国町長には木原氏が対応した。防衛省関係者によると、夕方以降に主催する自衛隊音楽まつりがあったことから、夕方の軍転協の要請には対応できなかった。
 要請活動後、取材に応じた玉城知事は政府の対応について問われ「副大臣であれ政務官であれ(要請内容は)大臣にしっかり伝えてもらえる」と述べるにとどめた。
 時間調整などでいずれかの省庁で閣僚対応はできなかったのか、疑問は残る。ある県関係者は「防衛相は就任後まだ知事に会いに来ていない。向き合うつもりがあるのか。せめて防衛相は出て対応するべきではないか」と語り、政府の姿勢を批判した。 (明真南斗、知念征尚)