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手話するペコちゃん 菓子包装/「コーダ」の門さんデザイン


手話するペコちゃん 菓子包装/「コーダ」の門さんデザイン 「ミルキー」の限定商品の包装をデザインした門秀彦さん=9月
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 耳の聞こえない両親を持つ絵描きの門秀彦さん(52)がデザインした不二家のキャンデー「ミルキー」のオリジナル限定商品の包装がかわいいと人気だ。「アイラブユー」のハンドサインをする不二家のキャラクター・ペコちゃんが描かれた小箱の裏面と外箱に、「つながる」手話をモチーフにカラフルな人々をデザインした。
 全国初の手話言語条例制定から10年を迎えた鳥取県と不二家の共同企画。
 長崎県出身の門さんは、自身は聞こえるが、耳の聞こえない両親の下で育った。こうした人たちは「CODA(コーダ)」と呼ばれる。幼い頃、両親と話す中で手話やジェスチャーでは伝えきれない思いを表現するために絵を描き始めた。20歳の時、知り合いから壁絵を描いてほしいと頼まれた。父の「息子の絵の前で、ろうの仲間と待ち合わせたい」との願いをヒントに、壁絵に手話の場面を描き、ろう者が気付ける仕掛けを作った。
 壁絵の格好よさに目を付けた雑貨店勤務の友人が絵をプリントしたTシャツを製作すると、瞬く間に売れた。街中でこのTシャツを着た若い女性を見つけた両親からは「(周囲に)変な目で見られるので隠れて手話をしていた時代があった。街の真ん中でこうした光景が見られてすごく感動した」と言われたという。
 門さんは今回の企画について「ペコちゃんで手話のかわいいイメージが広く浸透してくれればうれしい」と話している。
 10箱入りが12セットで1万1880円。「とっとり手話フェス2023」のホームページから注文でき、売り上げの一部は手話言語の普及活動へ寄付される。

「ミルキー」の限定商品の包装をデザインした門秀彦さん=9月