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日本郵船の船 紅海で拿捕 フーシ派 「イスラエル船」主張 邦人不在、政府は解放促す


日本郵船の船 紅海で拿捕 フーシ派 「イスラエル船」主張 邦人不在、政府は解放促す 「ギャラクシー・リーダー」=2008年9月、スロベニア・コペル港(Kristijan Bracun/AP=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【カイロ共同】イエメンの親イラン武装組織フーシ派は19日、イエメン近くの紅海で「イスラエルの船」を拿捕(だほ)し、海岸に連行したとの声明を出した。日本郵船は同社が運航する貨物船が拿捕されたとして20日に対策本部を設置。日本政府が解放に向け中東の関係国への働きかけを始めた。日本人は乗っておらず、貨物も積んでいなかった。 
 船は英国の会社が所有し、日本郵船がチャーターして自動車運搬船「ギャラクシー・リーダー」として運航。イスラエルメディアによると、この英国の会社の親会社はイスラエルの実業家が所有しているという。
 フーシ派はイスラエルを敵視している。パレスチナ自治区ガザでの攻撃をやめるまでイスラエルを攻撃すると主張。イスラエル関連船は全て標的となると警告した。
 ガザ情勢の影響が地域の海運に及んだ形で、今後も襲撃が続く恐れがある。
 イラン外務省報道官は20日の記者会見で、フーシ派の貨物船拿捕に関し「抵抗勢力は自発的に行動している」と述べ、関与を否定した。イスラム組織ハマスは拿捕を歓迎するとの声明を出した。
 松野博一官房長官は20日の記者会見で、拿捕に関し「断固非難する。関係国と連携して船舶および船員の早期解放のため取り組んでいる」と述べた。
 フーシ派は声明で、イスラエルによる「おぞましい虐殺」を受けるパレスチナ人のための行動だと主張。一方、イスラエル軍は自国船でなく、イスラエル人は乗っていないとした。トルコを出発し、インドに向かっていたという。イスラエル首相府はイランを強く非難した。
 首相府によると、船の乗員25人の国籍はブルガリア、ウクライナ、フィリピン、メキシコ。
 イスラエル軍とハマスの戦闘が10月7日に始まって以降、フーシ派はイスラエルに向けて無人機やミサイル攻撃などを試みている。
 フーシ派はイスラム教シーア派系武装組織。同じシーア派の地域大国イランの支援を受けている。イエメン北部を支配下に置き、サウジアラビアが支援した暫定政権と内戦を続けている。