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歯の治療で老後のリスク減/東京医歯大調査/死亡や身体機能障害


歯の治療で老後のリスク減/東京医歯大調査/死亡や身体機能障害 歯の健康状態と6年後の体の健康状態との関連
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 高齢者が口の健康を保つことは、死亡や身体機能障害のリスクを下げ、知的活動の維持にもつながる―。そんな可能性を示す研究結果を木野志保東京医科歯科大講師らのチームが日本補綴(ほてつ)歯科学会英文誌に発表した。
 チームは、31市町村に住む高齢者を対象として研究プロジェクト「日本老年学的評価研究」で集められたデータと介護保険データの計約4万9千人分を基に、2013年時点の口の健康状態と19年時点の健康状態との関連を分析した。
 歯が20本以上ある人と比べた6年後の死亡リスクは「歯が10~19本で入れ歯などの補綴治療あり」で10%、「10~19本で補綴治療なし」で16%、「0~9本で補綴治療あり」で26%、「0~9本で補綴治療なし」で33%、それぞれ高かった。
 20本未満の人は20本以上の人に比べ、6年後に身体機能の障害が起こるリスクが6~14%高かったほか、読書など知的活動や外出頻度、野菜や果物を食べる頻度がいずれも少ない傾向にあった。
 20本未満の場合、補綴治療が死亡や身体機能障害のリスク低下、外出頻度の増加、食生活改善に結び付く可能性を示唆する結果も得られた。
 木野さんは「歯を失うことを未然に防ぐこと、歯を失っても適切な補綴治療で機能を回復することの重要性が今回の研究で改めて示された」と話している。