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北朝鮮 軌道進入を主張 「衛星」発射 政府、破壊措置実施せず


北朝鮮 軌道進入を主張 「衛星」発射 政府、破壊措置実施せず 北朝鮮の『軍事偵察衛星」打ち上げ(イメージ)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ソウル共同】北朝鮮は22日、朝鮮中央通信を通じ、21日午後10時42分(日本時間同)に軍事偵察衛星を成功裏に打ち上げ、同54分に地球周回軌道へ進入させたと発表した。上空から米領グアムの米軍基地などを撮影したとも主張した。韓国軍は衛星が軌道に進入したと評価し、正常作動の有無を分析している。偵察衛星打ち上げは8月に続き今年3回目。沖縄上空を通過し、日本政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令した。 (1面に関連)
 北朝鮮は21日未明、日本の海上保安庁に22日午前0時~12月1日午前0時の間の打ち上げを通報していたが、前倒しした。22日の天候悪化を考慮した可能性がある。日米韓は、北朝鮮が関係を深めるロシアから技術支援を受けた可能性に注目している。
 松野博一官房長官は記者会見で衛星の軌道投入は確認されていないと説明。被害情報はなく、破壊措置も実施されなかった。
 岸田文雄首相は「国連安全保障理事会決議違反だ」と非難。韓国政府は22日、緊張緩和を図る2018年の南北軍事合意の効力を一部停止し、軍事境界線付近での偵察活動を復活させた。
 朝鮮中央通信によると、北西部東倉里の西海衛星発射場から軍事偵察衛星「万里鏡1号」を新型衛星運搬ロケット「千里馬1型」に搭載して打ち上げた。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が22日、衛星から受信したグアムのアンダーセン空軍基地などの写真を確認したとしている。早期に複数の偵察衛星を発射する計画があることも伝えた。
 米韓の軍事動向を把握する偵察衛星の運用は、北朝鮮が21年に発表した国防5カ年計画の一環。北朝鮮は今年、5月と8月にも打ち上げを試みたが、いずれも失敗した。