有料

<福祉の窓>1024 精神疾患と精神障がい、違いは? 疾患長期化で生活に困難


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 障がい者福祉に興味があり、現在の障がい者の状況などを調べました。すると、精神障がいの方が比較的多いことなどが分かり、精神保健福祉の分野に進みたいと思いました。精神疾患を治療中の方も「精神障がい者」と認識していいのでしょうか。

 ご指摘いただいた障がい者の数について、身体障がい児・者は436万人、知的障がい児・者は109万4000人、精神障がい者は614万8000人(2023年版障害者白書)と内閣府から報告されています。

 精神障がい者の数は、精神科病院に通院している方と入院している方の数の総計であることから、精神疾患と精神障がいは同じと解釈されやすいですが、厳密には疾患と障がいでは、それぞれの意味は異なります。

 「精神疾患」とは精神的な病気の総称で「精神障がい」は精神疾患などによって生じる状態を指しています。日常生活や社会参加の場面で判断能力や行動のコントロールが著しく低下し生活困難を生じている状態が「精神障がい」です。

 精神疾患は「関係性の病」とも言われ、孤立状況でのストレスの抱え込みが主な発症要因と言われています。人とのつながりを制限した生活環境が精神疾患の増加理由となっています。

 精神疾患を患うと、精神疾患に対する周囲の偏見や、医療関係者や家族などの限定的な人のつながりになることが多くなります。そのような状況が精神疾患による症状の長期化を招き、精神障がい者と認識されるようになります。

 社会モデルの視点では「社会環境が障がいを作る」とされています。精神疾患を患う方の人とのつながりが限定されない社会を一緒に構築できればと思います。(沖縄県精神保健福祉士協会 兼浜克弥)


 県ソーシャルワーカー協議会は福祉にまつわる相談を受け付けます。宛先は、〒901-2299宜野湾市、宜野湾郵便局私書箱73号「福祉の窓」係まで。