有料

男女共同計画に「内助」 大分臼杵市 大学生が疑問視、削除


男女共同計画に「内助」 大分臼杵市 大学生が疑問視、削除 取材に応じる伊藤沙綾さん=3月、大分県臼杵市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 男女共同参画基本計画に「内助」「器量良し」の表現はおかしいのでは? 大分県臼杵市が策定した計画に、大学生が疑問を投げかけた。これをきっかけに、市は不適切な表現があったと認め、文言を一部削除した。新たな計画策定に向け、予定を早めて11月に市民の意識調査を行っている。
 計画は2017年3月に策定。市民の理想像として掲げたのは、広く親しまれている民話の主人公吉四六さんの妻「おへまさん」だ。「美人ではないが、安心感を与える容姿」とし、おへまさんを表すキーワードとして「内助」「器量良し」などを挙げていた。
 同市出身で東京の大学に進学した伊藤沙綾さん(22)が計画を目にし、疑問を感じたのは20年8月ごろ。新型コロナウイルス禍で、臼杵市の実家でオンライン授業を受けていた時期に、市から届いた男女共同参画に関する意識調査がきっかけだった。
 大学でジェンダーを学んだ伊藤さんは21年3月ごろ、市に5ページにわたる意見書を送った。内助は「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業的な考え方であること。器量良しは「美人」の意味でも使われ、容姿の話題なら明らかに問題―。計画の対象期間は10年と長期で、18歳以下の市民も意見を述べる機会を設けるべきだとも訴えた。
 市によると、策定前の計画案を議論したのは40~70代の市民15人の懇話会で、うち女性は9人。年齢制限は設けなかったが、若い世代は集まらなかったという。市は取材に、「おへまさん」を理想像とするのは「女性に限定したものではない」と説明。懇話会メンバーの一人だった70代女性は「自立した人物像としての表現だった」と話す。
 伊藤さんの訴えが契機となり、市議会でも取り上げられた。改めて懇話会でも協議。市は今年2月、「内助の功」や「器量良し」などを削除し、修正。6月からは、懇話会メンバーを20~70代とし、有識者も参加する。
 伊藤さんは「表現は重要な問題。背景にある価値観を見直さないと根本的な解決にならない」。今後も故郷に関心を持ち続けたいとしている。