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技能実習廃止、「育成就労」へ/有識者会議最終報告 3年目安、即戦力に


技能実習廃止、「育成就労」へ/有識者会議最終報告 3年目安、即戦力に 外国人技能実習・特定技能両制度を見直す最終報告のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 外国人技能実習・特定技能両制度の見直しを検討する政府有識者会議は24日、技能実習を廃止し「人材確保・育成」を目的とした新制度「育成就労」を創設する最終報告をまとめた。人手不足に対応するため、3年を目安に外国人労働者を「即戦力」の特定技能水準に育成し、中長期的な就労を促す。同じ業務分野で職場を変える「転籍」を認めるほか、受け入れ先の指導・監督などを担う監理団体の要件を厳格化し人権侵害防止を図る。
 転籍は、原則として同じ職場での1年超の就労などが条件。焦点となった制限期間に関し、都市部への人材集中の懸念に配慮し、就労開始から2年まで認めないことも可能とする修正案が示されていたが、最終報告は、業界ごとに制限期間の延長も認めるなど「必要な経過措置を検討する」との記載にとどめた。
 技能実習で転籍できるのは、職場に問題があるなどやむを得ない場合のみ。賃金未払いや職場での暴力、ハラスメントなどがあっても職場を変えられず、失踪者が続発し社会問題化した。
 新制度では、転籍は就労1年に加え、日本語能力試験で最も易しい「N5」レベルと技能検定の合格が要件となる。さらに特定技能への移行は、一定の技能と日本語試験「N4」レベルを求める。受け入れ分野をそろえて特定技能への移行を促し、定着を狙う。
 また、受け入れ先を指導する監理団体の許可要件を厳格化し、弁護士らによる監視機能を強化。監理団体や受け入れ先を監督する外国人技能実習機構も人員を増やすなどし、外国人の支援・保護を充実させる。
 多くの実習生が、母国の送り出し機関へ手数料を支払うため来日時に借金を抱えており、受け入れ先が一定程度、負担する仕組みも提唱した。
 最終報告は近く法相に提出され来年の通常国会への関連法案提出を目指す。