有料

核抑止論「軍縮を阻害」 禁止条約 宣言草案 締約国会議 あす開幕


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク共同=稲葉俊之】ニューヨークの国連本部で27日に開幕する核兵器禁止条約第2回締約国会議が採択を目指す政治宣言の草案が24日、判明した。核抑止論への固執は「不拡散義務と矛盾するだけでなく、核軍縮の進展を阻害している」と正当性を否定し脱却を要請、「検証可能で不可逆的」な核廃絶が急務だと訴える。 (3面に関連)
 核保有国の軍事ドクトリンなどで核兵器の重要性が増していることで質・量ともに増強され、緊張が高まっているとし、核使用のリスクは「深刻化している」と指摘。核禁止条約の強化に向け、被爆者や非政府組織(NGO)など全ての当事者に一層の「積極的な関与」を促した。
 草案の表題は「核兵器禁止の支持と破滅的な結末回避への決意」で、核が二度と使われないことを保証する唯一の手段は全面的な廃絶と強調。核廃棄の検証などの議論も深め、会議最終日の12月1日に宣言を採択する見通しだ。
 草案は、核拡散防止条約(NPT)を「軍縮と不拡散の礎」としつつ、米国とロシア、中国、フランス、英国の核保有五大国が核戦力を強化し、NPTが規定する軍縮交渉義務を履行していないと不満を表明した。
 核兵器の存在と軍縮停滞が「全ての国の安全を脅かし、人類の存亡に関わる脅威となっている」と強調。核の威嚇に基づく核抑止論は「核に偽りの信頼感を与え脅威を高めている」と警告した。
 日本は米国の「核の傘」に依存しているが、草案は非核保有国への拡大核抑止もリスクを高めると警戒感を示した。ロシアがベラルーシに、米国が北大西洋条約機構(NATO)加盟国にそれぞれ核を配備していることを念頭に「核共有はいかなる状況下でも正当化できない」と批判した。