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締約国会議、日本不参加 首相の核軍縮政策と矛盾も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本政府は米ニューヨークで27日から開催される核兵器禁止条約の第2回締約国会議にオブザーバー参加しない。核兵器国が一カ国も参加していないとの理由からだ。米国の核抑止力に依存している事情もある。岸田文雄首相は「核兵器のない世界」への追求を掲げ核軍縮政策を打ち出すが、矛盾を指摘する声も上がる。 (1面に関連)
 10月26日の参院本会議場。公明党の山口那津男代表からオブザーバー参加を促された首相は「条約に核兵器国は一国も参加しておらず、出口に至る道筋は立っていない」と述べ、参加に後ろ向きの姿勢を崩さなかった。
 背景には日本を取り巻く安全保障環境の厳しさがある。軍事力強化にまい進する中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮などを念頭に「核の傘」の提供を受ける米国との同盟強化に注力せざるを得ないとの考えだ。
 一方で被爆地・広島選出の首相にとって核軍縮政策は譲れない。核保有国と非保有国双方が参加する核拡散防止条約(NPT)を重視し、昨年8月のNPT再検討会議で行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」を公表。今年5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)では、核軍縮の重要性に焦点を当てた初の独立文書「広島ビジョン」をまとめた。