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万博 大屋根、初公開/350億円、閉幕後に撤去


万博 大屋根、初公開/350億円、閉幕後に撤去 報道陣に初めて公開された、2025年大阪・関西万博会場の木造大屋根「リング」の建設現場=27日午前、大阪市の夢洲
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2025年大阪・関西万博の象徴に位置付けられる木造大屋根「リング」の建設現場が27日、報道陣に初めて公開された。全体の会場整備費は当初の1.9倍となる最大2350億円に膨張。日本国際博覧会協会はうち350億円を投じるリングを閉幕後撤去する方針で、「世界一高い日傘」「無駄遣いだ」との批判が出ている。
 リングは1周約2キロの環状デッキで、協会はこの日、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)で大手ゼネコン「大林組」が中心に建設を進めるエリアを公開。「貫(ぬき)接合」と呼ばれる伝統工法を用いて木材を組み上げる様子や、一部完成した高さ約12メートル、幅約30メートルの回廊も披露した。工事進捗(しんちょく)率は35%ほどで「順調だ」としている。
 リングは24年秋ごろ完成し、仕上げの工程を経て25年2月までに協会に引き渡される見通し。会場整備費は資材価格高騰などを背景に2度上振れし、当初の1250億円から大幅に膨らんだ。整備費も当初想定の180億円から2倍近くに増えている。
 自見英子万博相は「日よけの熱中症対策として大きな役割を果たす」と理解を求めているが、野党は「世界最大級の無駄遣いだ」「世界一高い日傘に国民が納得するのか」と相次いで批判。協会は解体した木材を資材として提供するなど再利用する方針だが、担当デザイナーや協会関係者からは保存案や移設案を推す声も上がっている。