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シニア婚活 自由な発想で


シニア婚活 自由な発想で 9年間の事実婚を経て結婚した日吉勝さん(左)と佳子さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

出会い求めるケース増加

 熟年離婚や死別を経験した独身のシニアが、婚活パーティーやマッチングアプリを利用して、新たな出会いを求めるケースが増えている。専門家は「価値観が多様化しており、古い固定観念にとらわれない方がいい」とアドバイスする。

専門家「古い固定観念捨てて」
 「東日本大震災や新型コロナウイルス禍の影響で、独り身の不安や寂しさを覚える方が多くなった」。シニアのお見合いや婚活パーティーを主催する「茜(あかね)会」(東京)の川上健太郎統括部長は、ここ十数年の利用者の意識についてこう話す。
 また、以前より高齢者の恋愛にネガティブな感情を抱く人が減り「自ら婚活をオープンに話す人が多くなった」と言う。
 こうした変化に合わせるように、マッチングアプリも活気づく。今年1月からサービスを始めた50歳以上専門の「Goens(ゴエンズ)」は登録者が約1万5千人。月に約千人ずつ増えており、運営者の広沢和也さんは「市場はますます活発化すると思う」と実感する。
 シニア生活文化研究所の小谷みどり所長は「出会いの機会は増えたが、その数だけいろんな考えの人がいる。あまり自分を押し付けると、良い結果にならない」と話す。
 東京都に住む60代男性は3年間の調停を経て今年、離婚が成立した。東京の有名私立大出身で、東証プライム上場の会社を早期退職。蓄えは十分ある。お見合いで気に入った女性と何度かデートを重ねたが「(男性の)経歴が良すぎて釣り合わない」と断られた。
 横浜市で開かれた婚活パーティーに参加した60代女性は、4年前に病死した夫の看病を思い出すと「独り暮らしは不安で仕方がない」。だが、この日も気に入った人は現れず「合う人を探すのは難しい」とこぼす。
 小谷さんは「出会いに慎重なのはいいことですが、うまくいかないのは籍を入れることにこだわるからかも」と指摘。「恋愛も結婚もさまざまな形がある。もっと自由な発想で臨んでほしい」
 結婚を急がず、あえてこんな方法を取った夫妻もいる。
 横浜市の日吉勝さんは(79)は離婚、佳子さん(76)は死別を、それぞれ経験したカップル。2人は茜会のパーティーで知り合い、9年間の事実婚を経て今年9月に結婚した。仕事ずくめだった勝さんが2回の離婚経験があったので、猶予期間は周囲を安心させる時間にもなったようだ。勝さんは「長く仲良く暮らしているのを見て、双方の子どもたちも結婚を祝福してくれた」。
 小谷さんは「実際、シニアほど自由な恋愛をできる人たちはいない。できれば『男は経済力、女は家事』という古い観念も捨て、楽しみながら、自由に出会いを楽しんで」としている。