有料

技芸継承 伸びやかに 島袋本流紫の会 秀乃家元が独演会


技芸継承 伸びやかに 島袋本流紫の会 秀乃家元が独演会 「雪の真綿」を踊る島袋秀乃=10月29日、浦添市の国立劇場おきなわ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 島袋本流紫の会三代目家元の島袋秀乃の第3回独演会「花の一道(ちゅみち)」が10月29日、浦添市の国立劇場おきなわであった。2007年に40歳で三代目を襲名した秀乃。祖父である初代家元の島袋光裕、叔父である二代目家元の光晴から受け継ぐ島袋本流の技芸を丁寧に、伸びやかに披露した。
 幕開けの「一つ花」は二代目家元光晴の創作。しっとりとした始まりから、弾むような展開へ、軽やかな舞で見せた。続く雑踊「むんじゅる」は、島袋本流では入羽に「赤山節」を入れた構成で、軽快なメロディーと舞を披露した。
 秀乃が創作した「雪の真綿」では、雪のように白い木綿花が入ったかごを手に登場。初代家元の光裕作の「あらの一粒」の少女が乙女に成長した過程をモチーフにしたという作品で、天真らんまんであどけなさが残る乙女を生き生きとした舞で表現した。はらはらと雪が降る演出も幻想的だった。
 フィナーレは初代家元の光裕、二代目家元の光晴のおはこでもある「高平良万歳」で飾った。様子をうかがいながら徐々に敵に迫る動作には無駄がなく、洗練されており、踊り継がれた技芸の質の高さを感じた。 (田吹遥子)